インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

2017年9月から、2018年3月までの記録

昨年の夏の終わり、妊娠していた。正確にいうと今もまだ妊娠している。高齢出産ということもあり、あまりブログやSNSなどに書くのを控えていたけれど、いよいよ産み月が近づいてきたので、思っていることをメモしはじめようと思う。

 

 

妊娠は計画的ではなかったが無計画でもなかった。夫(当時は恋人)に自分の持病のこと、子供を望めないかもしれないかもしれないことを伝えていて、両者の合意は得られていた。「ふたりでいるのが楽しいから結婚するわけだし、子供の有無はその次じゃない?」と言ってくれたのが心強かった。なのでわたしたちの意見は「積極的に取り組むことはしないが、できても構わない」というスタンスでいよう、という着地をみた。それから約9ヶ月。結婚の準備を進め、同居の準備を進め、親への挨拶が済んだあたりで「これはあやしいぞ」という兆候があった。1週間ほど様子を見て、ひとりで薬局へ立ち寄り、妊娠検査薬を買い求めた。

 

 

検査薬を購入したその足で下北沢のライブハウスへ向かい、夫(当時は恋人)と合流した。ライブ開演の待ち時間のトイレで検査薬を使った(待ちきれなかった)。結果は陽性。ライブを楽しみつつ、頭のどこかで「なんて言おう。どうやって伝えよう。いつ報告しよう」とグルグル考えていた。その夜、彼の家に行き、ライブの感想なんかを言い合ったりしている最中に「そういえば」と切り出した。相手のリアクションは覚えていない。喜びと戸惑いと「でもこれは喜ばしいことだ」という葛藤が顔の表情に見られたように思う。彼は13歳年下で20代。入籍もまだこれから。2〜3年は新婚生活を楽しみたい、という気持ちは知っていた。わたしだって同じ気持ちだった。でもそれは唐突にやってきて、わたしたちの生活を変えていった。

 

 

転居と悪阻の時期が重なったのは辛かったが、夫が目覚ましい活躍を果たし、ほぼ荷作りをしてくれた。転居先は海と山が近くにある小さな街。都心からは約1時間。駅から歩いて商店街を抜け、約13分。便利とは言えないが、とりたてて超不便でもない。暮らせる程度の不便。築年数は古いが風通しの良い3DKの広い部屋を借りられていた。新しい住まいでの生活は夫の献身的な協力もあり、悪くなかった。日に日に寒くなる気候を除けば。下がっていく気温は体力と気力を奪い、産休を待てず会社を辞めることにした。その間も子供は育っていたが、まったく実感がなかった。

 

 

実感が湧いたのは7ヶ月に入った頃。いわゆる「胎動」というものをはっきりと感じはじめてからだった。腹の内側からボコボコと「何かが動いている」という感触は、最初は物珍しかったけれども、そのあまりの強さに不快感を覚えることもあった。産婦人科の検診で「1時間〜40分おきくらいに寝て起きてを繰り返しているんですよ」と教えてもらい、自分の中に自分とは異なる意思を持つ生命がいるんだな、ということがやっとわかった。それまでは、身体つきの変化と大きくなっていく腹と、常にだるい、という体調不良のことしか見えていなかったのだ。

 

 

さて自分の中に新たな生命体がいる、ということを実感して思うのは、「いま自分の身体には人間の肉体が2セット装備されているんだなあ」ということ。脳に顔、手足、その他内臓が、自分のぶん以外にもう1セット。しかもそのもう1セットは猛烈なスピードで日々作成されていて、その制作状況を医師や助産師が逐一見守り、健やかな成長を願ってくれている。これはなんというか、自分で自覚する初めての体験だった。もちろんわたしが幼い頃は両親や親族がわたし自身の成長を見守ってくれていたに違いないのだが、その対象が自分自身を含めた自分の内部に向いている、というのはなんとも不思議な感覚だった。期間限定ではあるものの、この肉体はもうわたしだけのものではなくなってしまったのだ。

 

 

みたいなことを最近つらつらと考えているので、出産までの間にこういうことを書き連ねてみようと思っています。

今日はそんな感じです。
チャオ!