読んだのはちょっと前なのですが……今回も良かった〜。
お風呂にまつわる短編集です。
銭湯、温泉、ラブホテル(連れ込み宿?)のお風呂、おうちのお風呂、スーパー銭湯、いろんなお風呂が出てきて、お風呂を基軸にした様々な物語が描かれています。
妻子のある仕事相手から恋心を打ち明けられ温泉に誘われる「不倫未満温泉未満」、むかし恋人だった中年(初老?)男女の逢瀬を描いた「連れ込み風呂」が、予想外の展開で、とても良かった。
「喜びも楽しみも もうじゅうぶんもらったもの」
という台詞がズバーンと刺さりました。
先日「サ道」にハマり、サウナに入るため銭湯へ通っているんですが、久しぶりの銭湯でちょっとドキッとしたのは、脱衣場でした。見知らぬ人たちが全員裸になってウロウロしていて、いろんな裸がある。その中の一人にわたしもなるんですが、高齢女性はわりと気軽に話しかけてくれるんですよね。「よく来るの?」とか「今日は混んでるわね」とか。裸の状態のとき、見知らぬ他人に話しかけられたときの無防備感がすごくて、こういうの、忘れてたなと思いました。
こうやってブログを書いて、いろんな人にいろんなことを言われたこととか、仕事の嬉しいことや辛いこととか、気持ちがざわつくSNSの投稿とか、自分の属性とかを、ぜーんぶ脱衣かごに突っ込んで、なんにもないすっぽんぽんの1人として誰かと交流するって、とても自由で気持ちが良いです。
サウナのついでに広いお風呂も入るんですが、大きな浴槽に満たされた熱いお湯に身体を委ねていると、自分の外郭がほぐれていって、とても穏やかな気持ちになります。普段の生活で、自分は思ったよりいろんなものを纏っていて、気付いていなかったけど、それが思ったより息苦しかったんだなというか。
この「おふろどうぞ」を読み終えたときにも、それに近いものを感じました。優しくさらさらとした短編を、1作ずつ読み終えるたび、自分がほぐされていったような気分。裸になるって、すごいことなんだな〜と思います。
今日の東京は薄曇りで小雨のぱらつく肌寒い日で、こんな日は、熱いお湯がたくさん張ってある大きなお風呂に入りたいな〜、と思いまして、ご紹介まで。
そういえば作品のひとつに「ボーダー」のようちゃん家族が出てきて、一気にテンション上がりました。この家族も、いいなあ。
「ボーダー」はこちらから試し読みができます。2巻完結の、すっきりとした寂しさを大切に受け止めたくなる気持ちになれる名作です。
ついでに「サ道」も再度、どうぞ。
あー、サウナ行きたい!
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今日はそんな感じです。
チャオ!