漫画「孤独のグルメ」がドラマ化されたということで、毎週楽しみにしています。
孤独のグルメ:テレビ東京より
- 作者: 久住昌之,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2008/04/22
- メディア: コミック
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主人公・井之頭五郎がひとりで街をぶらぶらして、ひとりでゴハンを食べて…というだけのお話なのですが、漫画はどことなく中年男性の孤独や郷愁があり、ドラマの方は妙に「トホホ」なおもしろさがあって、どちらも楽しんでいます。
ひとりで食べるゴハン
就職して、外回りをしていたころに、どうしても同僚と食事をする時間が合わなくて、自然とひとりで外食することが増えました。
学生時代はひとりで食べるゴハンがすごくイヤで、なんとなくひとりで食べるゴハンはつまらない、と思っていたのですが、ひとりゴハンに抵抗がなくなってから、これはこれで面白いものだなと感じるようになりました。
お店を決めるのも自分の気分でいいし、何を頼むかも自分勝手に決めていい。料理を待ってる間に本を読むのも、窓の外を眺めるのも自由。誰かと一緒のときみたいに、話題が途切れないよう焦る必要もなく、上司の愚痴を聞かされてイライラすることもない。
思ったより悪くないものだなーと思いました。
ひとりの楽しさ
そうなってみると、お店の内装のヘンなところとか、メニューに妙なイラストが添えてあるとか、すごくどうでもいいことに気付くようになりました。
身も蓋もない言い方をすると、「待ってる間ヒマ」だからいろいろ観察するようになったんだと思うのですが、食事をするお店と、そこに居合わせる人との関係って、その場限りなんですよね。
翌日また同じお店に来たとしても、まったく同じ瞬間っていうのはないんだなーと思うと、妙に面白いものです。
それでもなかなか「手持ちぶさた」な感じに慣れなかったのですが、ひとりで食事を待つ間、携帯も本もしまって、ボンヤリしてみる楽しさ、というのが、最近やっと分かってきた気がします。
さみしさの隙間
とか書いてますが、やっぱりひとりで食事をするということがさみしくないか、と言われると、さみしいもんです。
大人になると、誰かと楽しく囲む食卓の楽しさも知っているわけで、ひとりゴハンでそれとは違う楽しさを感じつつ、同時にさみしさもあるのですが、「さみしいな」と思わないと、表に滲んでこない感情があるんだなって気付きました。
「ああ、ひとりだなあ、さみしいなあ」と思うと、気持ちになんだか隙間ができたようで、なんとなく寒々しい気分になります。でも、その寒さに慣れてくると、気持ちの隙間にじんわりと、「自分自身だけの感覚」みたいなものが浮かんでくるんです。
さみしくなるのがイヤで、他人や何かで埋めていたところが空っぽになって初めて、表に現れてくるものがあって、うまく言葉にはできないのですが、「これはわたしにしか分からないものだ」と実感できる何かが掴めてきた気がします。
それは自分自身のエゴが形を変えて出てきているだけなのかもしれないのですが、「あれ、こんなところにいたの」と思えるような自分が見えてくるっていうのは、さみしさも悪くないものだなーと思います。
孤独なグルメ
ということで孤独を楽しめるようになると井の頭五郎の世界も遠からずなのでは、と前向きに捉えつつ、毎週水曜の夜はテレビの前で正座して楽しみにしていようと思ったのでした。