インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

人を褒めること。まず自分が嬉しがること。

大事な大事な友人のお通夜に行ってきました。
※いつも以上に私的な備忘なので、畳んでおきます

ベースが我が家にやってきて、ちょっと弾きはじめたとき「そのうち一緒にバンド組もうぜ!練習つきあうよ!」って言ってくれた人で、つい先日の発表会でも心強いアドバイスをくれた、お兄ちゃんみたいな、でも同い年のクラスメイトみたいな、尊敬できる、大きな存在でした。


発表会の直前に、頻繁にスタジオ練習に入るわたしを心配してくれて、「無理してない?」と覗きにきてくれたことがありました。わたしはひとりでベース練習をするつもりで2時間予約したのですが、その2時間のほとんどを、音楽やバンドについて熱く語り合いました。彼は人気者で、いつも誰かに囲まれていたので、1対1でじっくり話したのはそれがはじめてでした。


「いつかちゃんと話したいって思ってたから、よかった!」と言ってくれて、わたしも誰にも言えなかった思いを熱く伝えて気恥ずかしくなって茶化したりしたけど、同じ気持ちでした。彼の心配はまっすぐで、「みんな楽しめてるか?」「ちゃんと演奏は上達してるか?」と自分のバンドのことのように気にかけてくれて、見ていてくれる人がいる、と思うと、夢中になって頑張ることができました。

練習してきたことは最初の一音で分かるし、どのくらい真剣にやってきたかは最初の八小節も聴けば分かる

これは彼がわたしに言ってくれた言葉です。

ヘタクソなりに必死で練習して、突然「練習のぞきにいくわ」と言われ動揺しながらも数曲演奏を聴いてもらいました。その上でくれた言葉です。「見てないようでちゃんと見てるからね」と彼は言ってくれました。


このときに「ああ、ヘタクソでも、ちゃんと練習したことは分かってもらえるんだ」と心が軽くなりました。
練習してもしてもうまくならなくて、でも発表会の日は近づいていて、泣きたくなったときにはこの言葉を思い出しました。


発表会当日、わたしたちのバンドの演奏が終わったあと、彼はメンバーそれぞれに一言ずつアドバイスを伝えてくれました。わたしへのアドバイスは一番最後で、ああなんて言われるんだろう、あそこもここも間違えた、でも頑張ったことは胸を張って言える、と思いながら直立不動でいたら、彼はまず一言「…がんばったな!」と言ってくれました。そして、二人で話したときに言っていた「キャンディーズのバンドカバーやりたいよね」という話を覚えていてくれて、「キャンディーズやろうな!」と、みんなの前で言ってくれました。

その後の打ち上げでも、彼は終始ニコニコしていて、熱くいろんな話をしてくれました。わたしはラッキーなことに彼の隣の席を確保して、それを間近で聞くことができました。そのときも彼は、自分のことのように、それぞれのメンバーの成長を喜び、褒め、アドバイスをしてくれました。


あのとき、みんなの人気者を独り占めしちゃいけないなと思って、席を移動しなきゃよかった。
もっともっと、彼といろんなことを話したかった。もっともっと、彼に褒められたかった。「がんばったなー!」と喜んで欲しかった。


彼のドラムについていけるようなベースを弾きたいと思って練習してきて、やっとちょっとだけ背中が見えてきたかな?と思った矢先、一緒にバンドを組むこともかなわず彼は彼岸の人となってしまいました。でも。


彼のせいで、というか、彼のおかげで、わたしも楽しいステージに片足を突っ込ませてもらえた気がします。
人を褒めること、そしてまず自分が嬉しがって、楽しそうにすることが、こんなに大勢の人を動かすんだ、ということを、背中で教えてもらいました。


厳しいことも言うけれども、褒めるときは手放しで褒め、自分のことのように嬉しがる。
その嬉しい顔を見たくて、こちらも思わず頑張ってしまう。彼は人を楽しくする天才でした。
ついついのせられて、気づくと自分も楽しいステージに立ってしまっていて、それをみてニヤッとする人でした。




ああやっぱりまとまらない。
とりあえず、こんなに早く死んじゃうとかなに考えてるの、バカ!と思いながら、彼が見ていてくれると信じて、毎日ちゃんと生きて、彼みたいな笑顔ができる人になりたいと思います。