インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

「彼の気持ちが分からない」と、彼女は言った。

女同士の恋愛相談は、基本的に正解がない。

愚痴に見せかけた惚気、相談に見せかけた愛され自慢、自分がいかに相手から欲されているか、欲情されているかを見せつけあうだけの、接待だ。でも自分が惚気る側になったとき気持ちよくしてもらいたいから、わたしたちは作り笑いで相手の話を聞いているふりをする。
 
「だから会うのは来月にしようっていうLINEが来たの。これって、どう思う?やっぱり彼はわたしのこと、好きじゃないのかな?」
 
冷静に考えたら答えはイエスだ、たぶん彼はさほどあなたに好意を持ってはいないだろう。一ヶ月も先の約束しかもらえないなんてありえないし、仕事が立て込んでいるからゆっくり会える時にしたいというその理由も、ありがちすぎる。
そして彼女も10代ではなくなった今、そのことは薄々理解している。分かっているのに、それでも誰かに聞かずにはいられないのだ。「彼はわたしのこと、どう思ってるのかな?」と。

 

この場合の回答には、2種類ある。

分かっているファクトを元に考えられる現実的で苦いアドバイスと、彼女がいっときでも気持ちよくトリップできるような、甘い砂糖菓子みたいなアドバイス。
 
「約束が一ヶ月も先で、しかもそれまでの間にほぼ連絡はナシ、もしくはあなたから送る一方なんでしょう?それってさほどあなたには興味がない、もしくは同時並行で他にも誰かいるってことなんじゃない?いずれにせよ優先度は高く設定されていないってことだから、あまり期待しないほうがいいよ」
これはおそらく、ほぼ70〜80%の確率で正解の意見だけど、彼女が求めている回答ではない。そしてもちろん、最大30%の確率で誤りだ。だって相手の気持ちは分からないから、マジで忙しい場合もあるし、ヘタすると「次の給料日まで待ってほしいけどそんなこと言えない」というケースだってある。
 
「その年齢って一番仕事が楽しい時期だし、友達も多い人なんでしょう?そしたら忙しいだろうし、仕方ないんじゃないかな?でもちゃんとデートの約束はしてくれてるんだから、あなたのために時間は取ってくれるってことじゃない!だったら彼の負担にならないよう、それまで自分磨きをして待ってみるのはどう?」
これなら妥当。
なんとなく期待を持たせてテンションを削がず、ここから「最近の自分磨きトレンド2014」の話にスライドして、ハマってる習い事やエクササイズの話で結論をうやむやにできる。でも「相手を待つため、(暇つぶしとして)自分磨きをする女」って、そもそも魅力的なの?キモくない?という本質的な問題から目を背けている事実は変わらない。
 
 
実はここで第三の選択肢もあるけれど、これを受け入れられる女性がどれくらいいるか、わたしにもまだ分からない。第三の選択肢は、「相手の気持ちなんてどうでもよくて、今、あなたがどうしたいか、その欲求だけに従って、あとは野となれ山となれ」だ。
 
あなたがすぐに会いたいなら、「来月なんて待てない。今日の仕事帰り、すぐに会いたい」と言えばいい。セックスしたいと思ったら約束なんて待たずにすればいいし、失礼だな、と思うようなことを言われたら怒ればいい。世間で言われるセオリーを無視するから遊ばれるかもしれないし、「遊ばれた!」って被害者面もできなくなる、かもしれない。
それに「女性がそんなことを言うなんて」と呆れられるかもしれないけど、だからなんだというのだ。相手の気持ちなんて、いくら考えたってわかりっこない。なら、ただひとつ確実に分かる「今、自分が、どうしたいか」を大切にすればいいじゃないか。
 
ただこのアドバイスの危ないところは、「じゃあわたしの欲求を彼に100%伝えていいのね!」と暴走するタイプがいるところ。子供か。
 
このアドバイスが最初の選択肢としてのぼらないのは、アドバイスを伝える相手が「自分のWANTは素直に表明するべきだけど、相手がそれに応えられない可能性だってある。というか応えられない可能性のほうが、圧倒的に、高い」ということを前提として理解できているかどうかが問われるから。
それはつまり「好きな相手に限らず、第三者の立場や状況を考えて思いやれるほど成熟しているかどうか」の判定が伴い、ジャッジを誤れば大惨事を招く。
 
自分のWANTの表明と、相手への思いやりを両立させられる人は、思ったより少ない。男性が女性をお姫様扱いしようと努力するのは相手を好きだから、愛されたいと思ってくれているから。まだ愛がないうちに、こちらから過剰に求めてはいけない。
 
さらに愛情や約束は、自分の身体や何かをプライズにして引き出すものでもない。お前はかぐや姫かっつーの。それに、「あわてる乞食はもらいが少ない」ってことわざがあるでしょう。
 
「なにそれ、わたしが乞食ってこと?」
 
愛を乞う以上は、そのくらいの謙虚さを持つ方がいいんじゃないのかしらね。
 
 
欲しがる側だって、矜持を持って欲しがろうっていう話でした。
今日はそんな感じです。
チャオ!
 
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以下コラムの「女の子はお姫様」というワードをトリガーにして書いた記事です


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※ちなみにわたしは西島秀俊向井理の結婚ではノーダメージです。