他人と話していて、どうもこの人との会話だとイマイチ言いたいことが伝わらない、相手の言いたいことがよく分からない、みたいな状態があって、ずっと疑問でした。
要旨が押さえられていないとか議論のポイントがズレるとか、まあ単に相手との相性が悪いとか、そういう仮説を立てて解決策を探ってみてもなんかうまくいかなくて、困ったなあと思ってたんですが、最近読んだ本にナイスな視点があったので備忘。

言語の社会心理学 - 伝えたいことは伝わるのか (中公新書)
- 作者: 岡本真一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/01/24
- メディア: 新書
- クリック: 2回
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なんかうまくコミュニケーションが取れないなあと思っている相手がとる具体的な行動は何かを考えたとき、「自分の言いたいことだけを一方的に伝えてくる」というのがありました。
こちらから何かを伝えて、相手がそれを受けて返し、さらにそれを受けて返す、っていうのが基本的なコミュニケーションの流れだと思っているので、一方的にワーッと話されてこちらが何かを返すスキがなかったり、「言いたいことをすべて話し終えた」という感じで集中を解かれたりしてしまうので、会話が継続している感じがなかったんですよね。
そうなると言いたいことのキャッチボールが出来ている手応えがなくて、ちゃんと伝わってるのかなあ、分かってるのかなあと不安になって、コミュニケーションにストレスを感じる流れだったんですけど、どうやら違和感のポイントは「沈黙」にあったみたいです。
ざっくりかいつまむと
- コミュニケーションのチャネルには「音声言語」「文字言語」がある
- 音声言語はことばや声、表情、視線やジェスチャー、姿勢や対人距離など
- 文字言語は記号、顔文字絵文字、字体やフォント、筆記スタイルや文字色・レイアウトなど
- 「音声言語」にはさらに非言語的チャネルがあり、話す速さ、声の強さ高さ、質や沈黙といったものがある
ここの「非言語的チャネル」、正確には「非言語的音声」と言うそうなんですが、場面によって変化し、その場での感情状態も反映されるもので、沈黙や休止、話し方の乱れとかが含まれるそうです。
で、この「沈黙」っていうのが個人的にはすごくズバーンときたポイントでした。
というのも、わたし自身、ものすごく早口で、一生懸命何かを伝えようと思うと言葉の情報量をどんどん追加してしまう傾向があって、ワーッといっぱい情報は渡したけど相手がポカン、みたいな失態をよくしていて、それで商談が失注したりするケースがありました。
人前で司会をしたり、注目を浴びるような場面で顕著になるんですが、なんかこう、黙ってる時間がしんどくって、もっとなにか言ったほうがいいんじゃないかとか言葉が足りていないんじゃないかみたいな不安が膨れ上がってきちゃうんですよね。
でも結局それで情報量ばっかり増やしても効果はなくて、これがずーっと自分の中で大きな課題でした。どうにかして治したいと思ってます、今も。
最近やり始めている練習が「沈黙」で、しんどい割に効果あんのかまだ実感できてなくてちょっと不安だったんですが、これもちゃんとしたコミュニケーション手法のひとつなんですね。
本文から引用すると
コミュニケーションの中では、発言するだけでなく、沈黙していることもあるが、二人の人の会話の中での発言と沈黙のパターンを分析した研究では、発言と沈黙が両者間でうまく交替する場合に伝達の効率がよくなる、ということが見いだされている。
また、沈黙というのは決して何もしないということではない。沈黙には相手への反発を示す、相手の発話を反芻して確認する、自分の発言の準備をするといった積極的な意味も有するという。

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ということでまとめると、
- 沈黙もコミュニケーション手法のひとつである
- 沈黙の順番を適切に守ることで言いたいことが効率よく伝わる
みたいな感じです。
まあ自分が気をつけましょう止まりで相手に強制することはできないんですが、もやもやの理由が分かってすっきりした!