インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

サンマ一匹食うために4時間並べなくなったら人生終わりだと思う。

タイトルは釣りですごめんなさい!!!!!!!!!!!!!!!!

サンマ一匹食うために4時間並ぶようになったら人生終わりだと思う。
http://d.hatena.ne.jp/tokunoriben/20110904/1315146935

落語「目黒のさんま」にちなんだお祭りが毎年目黒で行われており、サンマが無料配布され行列ができるというのが秋のはじめの風物詩でもありますが、買ってもたいした額にならないサンマを並んでまで買うなんてという話題に触れて考えたことなどを備忘。

効率化して何するの?

ちょっと話がズレますが、ライフハックというか効率的に物事をこなしたり無駄をなくしたりすることが好きなのですが、その結果でできた時間で何をするのか?というのをずっと考えていました。


ライフハック系のビジネス書なんかを読むと、「AをBすることで1日に数時間の余暇ができました。じゃあその余暇を何に使うか?」について、だいたい「新しい仕事をする」「自分を磨くために学びの時間に充てる」みたいなことがよく書かれています。


フムフムなるほどと思って効率化を求め空いた時間にガリガリと新しい仕事や勉強をしていたのですが、あるときプツンと糸が切れて何も出来なくなった時期がありました。


そこでふと思ったのは、「こんな時間貧乏になってまで、わたしは何をしたかったんだろう?」「本当に大事な人やことに時間を割いていられたのだろうか?」ということでした。

無駄ってそんなに悪いこと?

同じ頃「ゲゲゲの女房」という朝の連続テレビ小説を観ていて、水木しげる氏の仕事場に貼ってあった「無為に過ごす」という言葉がとても印象に残りました。


もとはゲーテの言葉で、人によっては「今日をダラダラ過ごすと明日もその先もダラダラするからちゃんとしろ」という意味に解釈するようですが、わたしはこの単語だけが印象に残っていて、たまに思い出すようにしています。


水木しげる氏は寝るのが大好きで、朝、奥様が娘さんを起こすのもめちゃくちゃ怒ったそうなんですね。
奥様が出されたレシピ本に漫画の引用がありました

ゲゲゲの食卓

ゲゲゲの食卓

水木しげる氏)「お前も今日から十時間以上寝ないと長生きできないぞ」
(奥様)「長生き?」「何歳まで生きるんですか?」
水木しげる氏)「百歳」
(奥様)「ふは」

たくさん寝て、たくさん食べて、無為に時間をすごし、そこから創作に向ける、あのものすごいエネルギーを産み出していたんだな、と実感します。ものを作るためにはものすごいエネルギーが必要で、そのためにはしっかり充電する必要があったんですね。


それまでの自分は、いろんなことを効率化して、空いた時間にさらに新しい仕事を詰めて、「無駄を省けた!」という自己満足のもとに、どんどん自分を苦しくしていただけだったんだなーと気づきました。


「効率的に睡眠を取る」「朝4時に起きて云々」
という文句に踊らされて、睡眠=無駄な時間みたいに感じていたんだと思います。

こういうことをしていた時期は、まさに「時間がなければ寝なきゃいいのよ!」と思っていました。

終電=定時だったわたしが勉強時間を確保するためにした1つのこと
http://d.hatena.ne.jp/hase0831/20110626


今では、無駄ってそんなに悪いことかな?と考えるようになりました。
もちろん無駄がガマンできない、効率的に物事が進むことに快感を覚える人の気持ちも分かります。たぶん根っこの部分では、わたしも効率的に物事が進んで無駄がないことを美しいと思っています。時間がないなら作るものだと思っているし、それを言い訳にするのも美しくないと思っています。

ただ、睡眠と同じように「(仕事に関係ない)本を読む」「(仕事に関係ない)ゲームをする」「空いた時間を無為に過ごす」ことも無駄=悪だと思っていたのですが、それって間違ってたんじゃないかな?と。

無駄が人生を豊かにする

体調を崩したせいもあり、思いきって「寝たいだけ寝る」「無駄とか非効率とか考えないで、やりたいと思ったことをとりあえずやってみる」時期を作ることにしました。


今まで全然観ていなかったテレビをダラダラと観たり、ゲームをしたり、電車で行けばすぐの距離を歩いてみたり、コーヒーを飲みに出てただボンヤリと過ごしたり。最初は「うわー、わたし今すごく時間を無駄に使ってる!」と思って、ソワソワしていた覚えがあります。


肉体が少しずつ元気になってきて、ある日の夕方、夫と散歩をしていたとき、植え込みのツツジがたくさん咲いているのに気付きました。


以前から通勤経路だった道なのに、葉の緑と、まさに「躑躅色」という鮮やかな花の色と、陽が沈みかかっている空の色がとてもきれいで、なんでこんなにきれいなものに、今まで気がつかなかったんだろう、と思いました。
こんなにきれいなものを「忙しいから」「時間がないから」という理由で見ていなかった自分が、とても貧しい人間だったと感じました。


いまでも「仕事の無駄」は嫌いです。

毎回何度も同じことをする単純作業があれば圧縮したいし、たくさんある苦手なことも、時間のかかることも、効率的に時間を使って、短時間で仕事を終わらせるにはどうしたらいいか、と常に考えています。


ただ、そこで作れた時間は積極的に無駄なことに費やそうと思うようになりました。アグレッシブなんだかパッシブなんだかよくわかんない感じですが、意識して無駄な時間を確保しようと思っています。

サンマ一匹4時間で得られるもの

無駄なことに自分の時間を投げ打って、バカバカしいことでも笑いながら楽しめるような余裕があるのは、素敵なことだと思います。


「この間、目黒のサンマ祭りで4時間も並んじゃったよ」

スーパー行ってサンマ買ってきて自分ちで焼いたら、30分そこそこで焼きたてのサンマが食べられるのに。別にそんな高級品でもないのに、4時間も並ぶなんて!

無駄で、バカバカしくて、素敵じゃないですか。
大人だからこそ、やらなければいけないときにキチッとできるからこそ、無駄にした時間の面白さが引き立つのだと思います。


1分の無駄も許さない、キチキチな時間の過ごし方をしている人よりは、こういうバカバカしいことを楽しめる大人になりたいな、と思っています。


#でもサンマは近所のスーパーで買ってきて家で焼くほうが好きです。