もう終わっちゃいましたが大好きだった「ティム・ガンのファッションチェック2」。ノウハウを教えてそれを実践させ続けるためのテクニックがたくさん詰まっていて毎週楽しみに観ていました。ていうか今も録画したやつをたまに観てるほど好き。
深く深く自覚しているのですがわたしは部下とか後輩にものを教えることがとても苦手で「えっなんで出来ないの」「なんでわかんないの」になってしまうタイプで、この時期に新しい後輩社員が入って自分が指導しなければいけないとき本当につらかった。
そんなこともあり、ティム・ガンの「自分で考えさせて腹落ちさせた上で前向きに実践させる」テクニックは毎回目からウロコだったわけです。とくに仕事以上に自分のアイデンティティに関わるファッションを自省させて変えさせるって、本人のプライドを傷つけずに行うのはすごく難しい。
で、この時期に同じ悩みを抱えてる人が多そうだな〜と思うので、ちょっと備忘してみることにしました。
ティム・ガンのファッションチェックについてはこちらから
「NHK教育「ティム・ガンのファッションチェック」がすごい」
http://d.hatena.ne.jp/hase0831/20101005
どれだけこれに感動したかは上記エントリで長々と書いているので割愛して、要するに毎回1人の出演者のクロゼットにダメ出しをして、新しく洋服を揃えさせる、ワードローブリセットの指南番組です。
プロセスとしては
- 自分のダメなところを自覚させる
- 与えられたルールに基づいて自分で新たにアイテムを選ばせる
- それを着て自分が変わったことを実感させる
の3つにまとめられるかなと思います。
この3つのプロセスが、後輩に仕事を指導するときに使えそうだなーと思うのです。
うまく指示できないときは、自分でも何をしたらいいか分かっていないとき
自分の経験を振り返ってみると、後輩にうまく指示を出せなかったり指導できないときって、だいたい自分でもその仕事の全体像がよくわかっていなかったり、本質がボンヤリとしか掴めていなかったときが多かったなと思います。
前項のプロセス1の「ダメなところを自覚させる」ためには、「指示する側が本質的なルールをきちんと把握している」ことが必要だったのですね。「なんとなくダメ」「なんか違う」だと、指示される側も混乱するのは当然なわけで。
なので、指示や指導がうまくいかないときは、自分自身がその仕事についてちゃんと理解できているかを振り返り、絶対に外してはいけないことと、外してもいいことの優先度を整理して、ルール化しておくといいのではと思います。
ルール違反はルール違反であり本人の人格とは関係ないことを徹底すること
ティム・ガンのファッションチェックには有名な「10のリスト」があります。
「ティム・ガンが厳選した10の基本アイテム」
ベーシックな黒のワンピース
トレンチコート
ドレスパンツ
スカート
ジャケット
クラシックなシャツ
ワンピース
場を選ばないトップス
ジーンズ
リラックスウェア(ただし洗練されたもの)
<http://www.nhk.or.jp/styleup/episodes/t100927.html>より
これがつまりルールの明文化で、ここを整理して形にしておくことで、「自分でもやるべきことが明確になる」「ルールが言葉になることで分かりやすくなり、ブレにくくなる」という利点があると思います。
ここを予めはっきりさせ、共通認識として持っておくと、相手のやっていることを訂正したり修正するときに「なぜダメだったか」の理由が明確になるのです。
会議がうまくいかない、という相談を受けたときよくある悩みが「改善したほうがいいと思われる点を指摘すると、自分を否定されたとネガティブに捉えて議論が進まなくなることがある」ということでした。
ある目標が達成できなかったり、問題点がわかったときに、その点について改善策を話し合いたいのに、その問題点が含まれる仕事を担当している人が「わたしのせいです、すみません」と心を閉じてしまって、話が進まなくなってしまう。
いろいろケースはあると思いますが、予め「目標を明文化し、共通認識として徹底しておく」ことで、「目標を達成できなかったあなた」が悪いのではなく、「目標を達成するためにどこで詰まってしまったかが不明」な点が問題であり、それの改善にともにあたるのがチームである、ということを理解してもらう。
ティム・ガンのファッションチェックは一言で納得させられる名言が多いのですが、
「距離を置けば自分を縛っているイメージから自由になれる」
「思い込みは誰も幸せにしない」
この2つはとくに心に残っています。
「何かが達成できない自分」が悪い、と陥りがちですが、周りの人間から「あなたが悪いのではなく、達成できない理由を解決できていないことは、チーム全体の問題」と伝えることで、現在その問題を抱えている本人が客観的になり、問題点を見つめ直すきっかけを与えられるのでは?と思います。
変わったことについてはしっかり評価・賞賛すること
変わった・改善した、と実感することが自信になり、自信がつくことでもっと前に進むことができる、というのは誰しもが経験してきたことではないかと思うのですが、自分で実感する以上に第三者に賞賛されることの影響力は大きいと思います。
ティム・ガンの場合は、それが「家族や友人の前でファッションショーをする」ということではないかと思います。鏡の前に立ち、自分自身で良くなった!と思えるとき、そのことを第三者にも評価してもらえる、というのは、本人の自信をさらに補強してくれます。
個人的には仕事の評価でもっとも確実なのは「報酬」つまりお金だと思っていて、あまりここは強調したくないとは思いつつも、一番シンプルでどんな人にも共通しやすい評価基準だと思います。とはいえ、頑張ったからボーナス、とは毎回いかないのも事実。
そんなときに「おお」と思ったのがこの記事です。
「「褒められる」ことは報酬 脳の"喜ぶ"様子を画像で捕らえた!」
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2008/04/post-36.html
褒められたときとお金をもらうとき、脳の同じ部分が反応するそうで、とても納得した覚えがあります。つまりボーナスをあげられなくても、褒めることでその人にとって評価された、ということは伝えられるんですね。
大切なひとにできるただひとつのこと
http://d.hatena.ne.jp/hase0831/20090309
ということで自分で言うことがここ数年まったく変わってないことが自覚できた備忘ですが、後輩や部下も一緒に仕事をするチームとしては「大切なひと」という意味で変わらないわけで、ちゃんと自信を持ってもらうために準備できることってけっこうあるもんだなーと思ったのでまとめてみました。