インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

仕組みを作るにはストーリーが必要。ホットペッパーの営業戦略「念仏」の話

あちこちで繰り返し話すようになったので、毎回説明するのめんどいのでまとめます。

ホットペッパーの営業戦略の中核となった「念仏」という考え方について。

ホットペッパー、というクーポンマガジン(という概念もホットペッパーが作ったんですが)は4年で売上300億円、営業利益100億円の事業に成長しますが、それを支えたのは業務委託と、CV=キャリアビューと呼ばれる3年間限定の契約社員だったそうです。

そのチームを率いて、これだけの事業に成長させた理由は何か、を体験談をもとにまとめたのが「Hotpepper ミラクルストーリー」。

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

 

プロダクトのブランディングとかマーケティングというよりは、どうやって売ったか、のお話です。ホットペッパーをタダで手に入れられるのは、そこに飲食店がお金を出して、広告として掲載しているからですよね。とはいえ、一口に飲食店と言っても対象はまちまちで、載せたい内容のニーズも、リテラシーもバラバラです。都度、彼らのニーズを引き受けていたら現場はとても回りません。しかも現場に不満は鬱積していて、ものすごい人数が売上のために迷走していた。そんな状態からあの膨大な量をどうやって受注していったのか、のストーリーです。

タイトルもうちょっとどうにかならなかったのか感は置いておいてください。
あと後半に行くと急に感情論になるので中盤くらいまでが読みどころだと思います。

今回なにをメモしたかったというと、彼らが営業の戦略を全員に、統一した「型」として浸透させるために使った「念仏」という方法です。

ホットペッパー営業部隊の営業戦略は、人通りが多くて飲食店が密集する中心地を営業活動の「コア商圏」として設定し、飲食店の中でも「居酒屋」に集中してアプローチ、さらにホットペッパーは担当者が受注から入稿まですべて1人で進行するのでフォーマット化するため「1頁の1/9のスペース」を、「3回連続して受注」する、そのためには「インデックス営業」を武器にする、そして売上獲得のため、「1日に20件を必ず訪問」すること、というものでした。

引用します。

大切なのは、その戦略戦術ストーリーが全員で共有されて、日々の行動で実現されることだ。全員の毎日の行動に表れなければ戦略戦術は絵に描いたもちになる。そのなかで、後の営業戦略の中核となる「コア商圏・飲食・居酒屋・1/9・3回連続受注・20件訪問・インデックス営業」というコンセプトが生まれ、それを「念仏」と呼んだ。

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

 

 

「コア商圏・飲食・居酒屋・1/9・3回連続受注・20件訪問・インデックス営業」、コンセプトとしては長いっちゃ長いんですが、要するに「誰でもいつでも問われたら、すぐに回答できるようになるまで営業コンセプトを端的にせよ、そしてそれを身体に叩きこめ」ということだと思うんですけど、ここまでマッチョにやらなかったとしても、「一言で説明できるよう端的にせよ」というのはどんなことにも通じると思っているんですね。

こういうことやろうと思うんです、と相談を受けて、そのサービスのコンセプトは何か、その機能が追加されると何が嬉しいのか、その企画で誰を喜ばせようとしていて、それは相手にとっても嬉しいのか、その戦略の狙いはどこか、みたいなことを聞くんです。その問いに一言で返答できるようにならないうちは、まだ練りきれていない、ということなので、そこまではちゃんと煮詰めたほうがいいんじゃない、という話を最近よくしているなと思います。

パッと思いついたことをホットなうちに実行に移すのも本当に大切なんですが、その場合は「やりながら考える」「途中の進路変更を当然のものとして柔軟にやる」「リスク(スピードの遅滞、手戻り、見込みの甘さによるちゃぶ台返し)はあるものとして覚悟を決めておく」みたいなのをセットにしておくといいんじゃないでしょうか。全部はいっぺんに実現できないからね。

 

なんとかやっていきましょう。
本はおもしろいです。事業立ち上げや、ビジネスのフレームを作るのに苦戦している人は、参考になる部分があるんじゃないかな。

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

 

今日はそんな感じです。

チャオ!