連休最終日だったのでいつもと違う本を読もうと思って、本棚から引っ張り出しました。
たぶん下北沢の古本屋で買って、そのまま読んでなかった覚えが。本棚整理のタイミングで読まないまま手放すところだったのですが面白かった。映像とか音源じゃなくて文字で落語って、おもしろいの?とも思われがちですが、けっこういけます。
でもなんだかんだで好きな噺家さんの声とか調子で脳内再現してる気もする…。
「禁演落語」とは戦時下にふさわしくないとして上演を自粛させられ、「はなし塚」に葬られた演目のこと。この本はさらにGHQの命令で禁じられた20篇についての解説もついていて、当時の流れとか空気がよく分かります。
禁じられた53演目とはこちら。
- 五人回し
- 品川心中
- 三枚起請
- 突き落とし
- ひねりや
- 辰巳の辻占
- 子別れ
- 居残り佐平次
- 木乃伊取り
- 磯の鮑
- 文違い
- 茶汲み
- よかちょろ
- 廓大学
- 明烏
- 搗屋無間
- 坊主の遊び
- 白銅
- あわもち
- 二階ぞめき
- 高尾
- 錦の袈裟
- お見立て
- 付き馬(もしくは早桶屋)
- 山崎屋
- 三人片輪
- とんちき
- 三助の遊び
- 万歳の遊び
- 六尺棒
- 首ったけ
- 目ぐすり
- 親子茶屋
- 宮戸川
- 悋気の独楽
- 権助提灯
- 一つ穴
- 星野屋
- 三人息子
- 紙入れ
- つづら間男
- 庖丁
- 不動坊
- つるつる
- 引越しの夢
- にせ金
- 氏子中
- 白木屋
- せんきの虫
- 蛙茶番
- 駒長
- おはらい
- 後生うなぎ
けっこうよく聞くネタも入ってて、驚きました。
「黄金餅」みたいなエグい話とかが入ってないのが不思議なんだけど、選出の流れを引用すると
ネタの内容から「甲、乙、丙、丁」の四部門に分類。女郎買いもの、酒飲みもの、泥棒もの、間男もの、美人局もの、不道徳もの、残酷ものなどが槍玉に上がり、「丁種」にランクされた。それを一つ一つ拾い出したのが、前記五十三種になったわけであるが、初めからスンナリきまったわけではない。
P.12より引用
という感じだったようです。
とくに「廓ばなし」が32種もあって興味深い。わたしは「廓ばなし」大好きなので、解禁されてほんとよかったなと思います。
人情ものとか間抜けオチもいいけど、廓ばなしに出てくる男女の駆け引きとか遊女のしたたかさみたいなのが好きなので。マンガだと「さくらん」もいいですよね。
読み終えて思ったんですけど落語ってやっぱり人間のダメなとことかダサいところをカラッと描いていていいなと思います。
酒がどうしようもなく好きだったり、カネがなくて家賃を平気で踏み倒したり、浮気したり、しょーもなくてセコいけど、それでもがめつく生きていく逞しさがあって、しくじったっていいじゃないか、生きてりゃオッケーじゃないか、という気持ちになれるのでとても良いです。
ということで興味があればぜひ。
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駒長ききくらべ
後半のまくしたてが最高。
スッキリシャッキリ聴きやすい。
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「後生鰻」ききくらべ。
このネタで「放生会」「放し亀」というものがあることを知りました。捕まえといて逃して「功徳をした〜」ってすげえマッチポンプだな!と思って驚きました……。
落語 古今亭志ん生(五代目) 後生うなぎ - YouTube
音がワンワンしてて聞きにくいですが、歌丸さんの声はスイッと入ってきていいなぁ。
今日はそんな感じです。
チャオ!
古今亭志ん生 名演大全集 1 火焔太鼓/黄金餅/後生うなぎ/どどいつ、小唄
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