愛する池波正太郎先生の「男の作法」の一節。
タクシーに乗ったとき、100円でもいいからチップを渡せ、というもの。
そうすれば、その人がその日一日、有る程度気持ちよく運転できるんだよ。
それで、おおげさかも知れないけれど、交通事故防止にもなるんだよ。
少なくとも、次に乗るお客のためになっているわけだ。
みんながこういうふうにして行けばだね、一人がたとえ百円であっても、世の中にもたらすものは積み重なって大変なものになるわけだよ。どんどん循環してひろがって行くんだからね。
だから、そのことを考えて実行することが、
「男をみがく…」
ということなんだよ。
ということは、根本は何かというと、てめえだけの考えで生きていたんじゃ駄目だということです。
大勢の人間で世の中は成り立っていて、自分も世の中から恩恵を受けているだから。
なんでこのことを思い出したのかというと。
今朝、会社のエレベーターでスーツの男性と乗り合わせて、
1階についてお互い左右別々の方向へ歩き出したとき、後ろから
その男性に「行ってらっしゃい」と声をかけられたのです。
あっ、ハイ!と笑顔で返して歩きながら
知り合いだっけ?と考えてみたのですが心当たりもなく、
さかのぼって考えてみたところ。
エレベーターを降りるときにドアを押さえていて
先に譲ってくださったので、「ありがとうございます」と言ったな、と。
で、ドアを押さえないでそのまま降りる人も多いけど
そういう紳士的な人なのかなーと思っていたのですが、そういえば
エレベーターに乗り込む前、同じ階のエレベーターホールで
その方と目が合ったときに、「おはようございます」と言ったな、と。
わたし「おはようございます」
男性「おはようございます」
↓
男性(エレベーターのドアを押さえてくれた)
わたし「ありがとうございます」
↓
男性「いってらっしゃい(笑顔)」
という、なんかいいキャッチボールができていたのかなーと
思い至りまして、冒頭の話を思い出したのです。
100円でも、挨拶でも、ちょっとしたことでも自分から与えることで
どんどんいい連鎖ができて、自分にも還ってくるものなのですね。
エレベーターホールで鉢合わせる、って
なんとなく気まずくて無言になっちゃったりするけど、
とっさに挨拶してみてよかったなー。
挨拶とか笑顔って習慣にしちゃえば慣れてしまうし
もちろん無視されることもあるけどほんとにちょっとしたことだから、
こういうのが続いていくといいなと思って備忘してみました。
「男の作法」は女性が読んでもほんとに面白いので、おすすめです。
今日もいい日だ!