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世界はリバーシブル/悪い芝居『スーパーふぃクション』感想文

この記事を読んで、チケットを取ってあった悪い芝居『スーパーふぃクション』見てきましたので感想。


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悪い芝居vol.16『スーパーふぃクション』 特設サイト

 

演劇には今まであまり縁がなくて、実際行ったら楽しいんだろうな〜でも何から見ればいいんだろうな〜と思っていたところ、ズイショさんの記事を見たのでチケットを押さえました。

10月は本当に忙しくて忙しくて、気がついたら公演当日だったわけですが、赤坂見附の駅に降り立って、劇場の席に座っても、疲れがぜんぜん抜けてなくて本当に眠くて眠くて、開演まで目をつぶってうつらうつらしていたのですが、始まった瞬間一気に目が覚めた。

席は前から3列目の真ん中で、しかも想像より近くて、えっこんな近かったら演者さんと目とか合うんじゃないのとかウッカリ寝ちゃったらすげえ気まずいじゃんとか思ってたんですがまったく杞憂でした。あっという間の2時間45分。

 

見ながら思っていたのは、昔から自分の身体のどこかにピーッとファスナーがついていて、そこを開いて内側を外側にひっくり返してリバーシブルにして生きていけたらいいのになって考えてたな〜ということ。

こっちの世界ではOKなことがあっちの世界ではNGで、こっちの世界の常識があっちの世界では非常識だったりするのなら、それに合わせてわたしの裏表を自在にひっくり返して適応いけたらいいのになと思っていて、それはつまりわたし自身の表と裏、どっちもわたし自身で、どっちが正ということはないというか、どっちも正だということ。

お前らがそういうならそっちが正でいいよ、だってわたしにとって、わたしの表も裏も、どっちも正で、どっちもわたしなんだもん、というような。

 

ただそれはけっこうやっかいで、理解や共感は期待しにくい。みんな表か裏か、どっちかだけで生きているように見えて、わたしもそうなりたいと思いながら、それでも新しい人と出会うたびに裏側を表にベロリとめくり出されたり、さらにその裏をまた出されたりして、自分の内側をどんどん表にさらして、常に生乾きの傷口がヒリヒリするような気持ちで生きてきたなということ。

そうやって、いつもヒリヒリしたすり傷みたいなのを抱えてて、これでいいのかなあ、これってわたしだけなのかなあ、こんなままでいいのかなあと思い続けていたけれど、それでいいんだよ!という気持ちになれたお芝居でした。

 思ったより、世界のほうもリバーシブルなのかもしれないですね。

 

終盤、山崎彬さんが客席に飛び込んで駆け上がって行こうとして客席の椅子に飛び乗るとき、バランスを取ろうとしてわたしの肩にポンと触れていきました。今もそこがザワザワしているような、なんだか変な感じがします。

生きてる人間たちが本気で動いて、騒いで、全力でこちらにぶつけてくる状況に身体を置いて、巻き込まれていく感じ。巻き込まれてしまったら、もう後には戻れない。

 

最後に向けて、舞台と客席の境目がどんどんどんどん侵食されていって、自分まであちら側に取り込まれてしまったような快感があり、これが生のお芝居の醍醐味なのかなって思いました。 

 

今日はそんな感じです。

チャオ!