インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

若さと引き換えに何を積み上げるか?

年を取れば取る程会社での居場所は狭くなるの?−GoTheDistance

「年をとってもヤングライオンに負けないようにする為には何を実施し、何を辞めるのか」を決めることがキャリア戦略というものだろう、と思うようになりました。

「ヤングライオン」というのは面白い表現ですね。
「何を実施し、何を辞めるのか」について思うところあったので備忘します。

年齢を重ねることの恐怖

ネットベンチャーを渡り歩いてきた身からすると、年齢を重ねるのは「恐怖」と言っても過言ではありません。


時間や知識はお金で買えるけれども、若さだけはどうしようもならない。走りながら考えろ、と言われるような業界で有利なのは「徹夜してもヘタらない肉体」と「失敗から何度でも立ち上がれる若さ」です。


「若さ」。
この1点に関しては、どうやったって時間は過ぎていくし、誕生日はやってきます。年々履歴書に記入する年齢の数字が大きくなっていき、求められる価値も高くなります。


いつまでもここにいちゃいけない、と追い立てられるのは恐怖です。

「若さ」は即効性の武器でもあるが暴落も早い

営業部の上司が、笑顔と愛想が取り得の女性営業担当者に「お前、30代になったらその戦法は使えなくなるよ」と辛辣なアドバイスをしている場面に出くわしたことがあります。


わりとハードめな「お前らはそこに座ってるだけでコストかかってんだよ」と怒鳴り散らされるような職場を経験したので、それぞれがそれぞれの武器をどう作っていくか、を必死で考えることがありました。
#もう二度と経験したくないですけど


つまり当時の彼女は「女性」「若さ」「かわいさ」だけで勝負をしていて、それなりに結果は出ていたけれども、その武器はそのうち使えなくなるよ、というのが上司の指摘だったのです。

その上司は極端な例ですが、自分の手持ちのカードが有利な札かどうか、状況が常に変わっていくゲームに参加しているつもりでいないと置いていかれる、というのは実際のところだと思います。


「このカードがあるからわたしは有利だ」と思っていると、あっという間に違うカードの価値が上がってしまったり、自分の切り札の価値が暴落していたりするのです。

では何を「武器」にするか

繰り返しになりますが、何をどう頑張っても「若さ」は失われていきます。


笑顔で「間違えちゃいました」と言えば許される時期も、あっという間に終わります。どんどんポジションが上がり、「間違えちゃいました」と笑う後輩に代わって謝罪やフォローに奔走しなければいけなくなります。


「ああ、その手は今までわたしが使っていたのに」と思っても、もう遅いのです。「若さ」という価値が廃れていくものに拠っている限りは、常に後ろを振り返り、ビクビクしなければいけません。


今日より若い明日は来ません。


であれば考えなければいけないのは、日々過ぎていく時間=若さと引き換えに、何を手に入れていくかです。それは手持ちのカードから「若さ」を捨てたときに、代わりにどんなカードを迎え入れたら自分が有利になるのかを常に考えることです。


それがつまり「キャリア戦略」であり、若さと引き換えに手に入れた武器でどう勝負していくのか、ということになるのだと思います。


資格を取ることばかりが武器を磨くとは思いません。
自分が何に興味を持ち、何で失敗をし、何についての知見を深めるかでそれぞれの武器は変わっていきます。その武器が、いまいる組織にフィットしているうちはそこで戦えばいいし、不要とされれば新たに求める組織へ移動すればいいだけのことです。

もしかしたら「やたらTwitterで知り合いが多い」ことがあなたの武器になるかもしれません。
はてブホッテントリに入るノウハウを知っている」ことが武器になるかもしれません。


「自分自身にしか出来ない経験をし、失敗をし、それをストックしている」ことでしか「若さ」には対抗できないのではと思っています。

「失敗」ではなく「For Example」

20代後半、ある会社へ出向の話が来たときに、出向を取るか転職をするかで迷ったことがありました。本社を離れて新しく立ち上げる子会社で、人数も非常に少なく、おそらく相当な負荷がかかると言われていました。当時すでに後発ぎみのサービスを提供することを目標とし、社内でも失敗するのではと囁かれていた事業でした。


転職や異動について他人に相談することはあまりなかったのですが、当時もいまも最高の親友だと信じている友人に、思い切ってその出向話をどう思うかを聞いてみました。失敗する目算の大きい子会社への出向か、ある程度やることの目鼻がついている他社への引き抜き話を受けるのか、どちらがいいと思う、と。


彼のアドバイスはただ一つ、「何かに挑戦してそれがうまくいかなかったとしても、それは失敗ではなく『For Examle』がひとつ増えただけだと思えばいい」ということ。


「失敗した」こともすべて「経験」になり、その「経験」が得難いものであればあるほど、お前のキャリアには価値が付くから、誰かが死んだり破産に追い込まれたりしない限りは、「面白そう」と思うほうをやってみろ、ということでした。


そのアドバイスのおかげで出向する決意が固まり、そこでは成功も失敗もたくさんしました。不甲斐なさ、悔しさで涙することもありましたが、そのときには必ず彼の言葉を思い出しました。


「これで他の人には分からない『For Examle』が貯まったぞ」
そう思うことで様々なことを乗り越えられました。
それがつまりわたしが「若さ」と引き換えに手に入れてきたもので、これからもこの武器は変わらないだろうと思います。


「今その瞬間」にできる失敗・経験を蒸留し熟成させていくことが、「時の流れで陳腐化しないスキル」を手に入れる、ということなのかもしれませんね。