良かった!とても!
乱交パーティに集う男女8人(+アルファ)のおかしさとカッコ悪さ、ナマナマしさを描いた作品。R18+ではありますが、思ってたほどでも。
確かに出演者はほぼ裸だしセックスシーンもたくさんありますが、流れ的に必要な感じでスッと入ってくるので、思ったより抵抗感はありませんでした。
「妥協する瞬間」はえぐい
男性2万円、女性千円。圧倒的価格差があることから、ここでは「女性の身体」に高い価値がつけられていることがあきらかなんだけど、それはあくまで「性器」としての女性であって、人間としての女性ではない。
顔がいまいちでも、痩せぎすでピアスだらけでも、ヤレればいいっていうレベルにグーンとハードルを下げた男性たちが、じりじりと、でも気持ち悪い感じで女性たちとの距離を詰めていく冒頭は最高でした。演出も意図的にジリジリした感じを出していて、「ああもう早く誰かこの状況をどうにかして!」と叫びたくなった。
同じように女性たちも牽制しながら「こいつならまあいいか…」と妥協して相手を受け入れていくわけですが、朝5時までという限られた時間しかないぶん、妥協していくスピードがあからさまで、ずっと苦笑してしまいました。
えぐいよね、こういうの。
自意識が邪魔をする
みんな目的は一緒なのに、空気の読み合い、距離の測り合いでなかなかコトが始まらないのもおかしくて、後半に進んでも「いやいや何しに来てるのあなたたち」っていう状況でもプライドとか自意識とかが顔を出してこじれたり揉めたり、そういう「捨てきれない」感じもすごく良かった。
さらに後半に入るとカップルも参加してくるんですが、ここのパートもとても面白かった。館内でも笑い声がかなりあがっていて、わたしもつい爆笑。
なんでもそうなんですけど、何かを120%楽しもうとするなら自意識って捨ててしまった方がよくって、ライブでもクラブでも、周りの目とか普段の自分と地続きの状態を引きずってると、トランスできない。でも捨てきれない。
その感じがリアルですごく良かったです。
崖に向かって飛べ
個人的には見終えた後、欲望というか渇望とか妥協とか自意識、変なプライドでこんがらがって身動きが取れなくなるよりも、死ぬかもしれないけど欲しいものに向かって思い切り飛ぼうぜ、というスカッとした気持ちになりました。
自意識もプライドも自分の中ではすごく重大なことっぽく感じているけど、思ってるよりどうでもよくて、そんなのに囚われているのは自分だけなのかもしれなくて、もっと自分本位で振る舞ってもいいのかもしれない(しかし常識の範囲内で)、みたいな感じ。
映画の登場人物たちを笑って見ているわたしも、実際は彼らと大差なくて、カッコ悪いくせにカッコつけてて、でもダサくて、みっともなくて、でもそれでいいじゃん、っていう。
しかし何しろ門脇麦さんが最高に良かった。
すごく美人というよりは個性的な顔立ちの女優さんだと思いますが、あの目を伏せたときの小動物っぽい感じや、ちょっと怯えてるんだけどずっしりとした重量感のある雰囲気とか、引き込まれてしまいました。
隠してるけど実はめちゃくちゃ性欲が強い女子大生、という役柄もまたいいですよね。
内容が内容なので異性の目を気にせず見たいという女性向けに、渋谷のヒューマントラストシネマでは女性限定の上映回があるそうです(日曜・月曜・火曜のみ)いいね!
上映中作品 | ヒューマントラストシネマ渋谷 | テアトルシネマグループ
こういう題材をフラットに話すことができない男性と行くよりは同性同士で、ぶっちゃけ話ができない女友達と行くくらいなら一人で、って感じかな。
ということで、とてもエグくてチャーミングで、アハハって笑えてスッキリした気持ちになれる映画でした。こじらせ系女子に強くおすすめしたい。
今日はそんな感じです。
チャオ!