インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

土下座の真意/いい悪いより合う合わない

急にボールがきたので。


大きな会社と小さな会社のどっちで働くべきか迷っている人へ

小さな会社に飛び込んでいこうとされる場合に心に留めておいて頂きたいのは、id:hase0831さんのお言葉を借りると「この社長のために(自分に非がなくても)土下座できるか?」という質問にどう答えるかです。それぐらいの気持ちがなければ、経営者の距離が近い中小では朝令暮改は当たり前ですからルールで考えていたら不条理なことが多くなるので疲れてしまって、やっていけなくなるんじゃないかなと思います。中小で疲れて大きな会社で仕事をしたいという方の気持ちがよくわかるようになりました。


けっこう前にTwitterでやりとりしたこの発言を
覚えていてくださったことに地味に感動したのでまとめ。
#まとめのわりに長くなったけれども!

ルールを守るのか、作るのか

大企業/零細ベンチャー両方で働いたことのある(後者は現役)自分の感覚ですが


◆大企業はルールを守ることが大切
◆零細企業はルールを作ることが大切


大きな会社は整備された環境と明確な役割分担の中で、
自分のポジションをひたすら極めていけばよかったのですが、
小さな会社に入ったとき、まずルールから決めていかなければ
ならないことに気がついて、愕然としたのを覚えています。
#それこそ「トイレットペーパーの補充ってどうしたらいいですか?」レベルで!


それが具体的にどのくらい面倒くさいかというと、
朝から晩まで営業しながら企画書作って電話の勧誘を断り
トイレットペーパーを注文するためアスクルに連絡をして
月末になれば死にそうになりながら大量の請求書を印刷して
捺印し封入し宛名書きをして郵便局に持って行って発送して
会社のホームページの更新について考え応接室の掃除をして…


みたいな中で、さらにそれらをルール化・マニュアル化して
いかなければいけないわけです。


決裁までのスピードはおそろしく早いですが、
それ以外にやらなきゃいけないことが
山ほどあるわけで、超〜面倒くさい。


そこで必要になるのは、組織のトップである代表の考え方を何度もトレスして、
自分の仕事においての判断基準を代表に合わせていくことだ、と感じました。


毎回毎回代表に判断を仰いでいたら、ぜんぜん前に進めない!と気付いたのです。


こういうとき、こういう状況なら、代表はきっとこう判断するだろう、というのを
何百回もシミュレーションして、選択の精度を上げていく作業をしました。
そうすると、本当に一番最後、「AにしますかBにしますか」まで現場で
選択肢を絞れるので、意志決定までのステップが短縮できるのです。


そうしてたくさんのルールを作って、都度軌道修正して、
無駄をなくすための法則を見つけていきました。

「土下座」の真意

「社長のために(自分に非がなくても)土下座できるか?」


これはつまり、代表の価値観≒自分の価値観であり、代表が判断して選択し、
その結果でおきてしまったトラブルなら、きっと回避のしようがなかったんだろう、
手持ちの選択肢の中ではそれがベストだったんだろう、そう信じて、
会社やプロジェクトを守るために土下座でもなんでもできる、くらいでないと、
ベンチャーではやっていけないよ、という意図での発言でした。


補足としては「誰に土下座するのか?」はお客様に対してであり、
トラブルのとき何よりも優先するのはお客様への対応なわけで、
まあそうなると結果どんなにむかつく上司でもトラブルがあれば
土下座とかするわけですが(したことないけど)そのときに
「これはもう仕方ないね!」と信じられるかどうか、だと思います。


土下座はないけど「なんでわたしが…」と思ってしまうようなことで机に膝に額がつくほど
頭を下げてきたことは何回も(今も)あるわけで、そのときに心を折らないかどうか、は
守らなきゃいけないものを背負ってるか背負ってないかだと思います。


さらにスタッフが増えた今、自分に非がなくてもに謝らなければいけないことが
格段に増えてきたのですが、やっぱりそれもスタッフが一生懸命やってくれて
その上で起きたミスやトラブルなら、もうしょうがないな!と思って
頭を下げる日々なわけです。


それはわたしが彼らも同じ価値観、判断基準のもとに
同じテンションで誠実に職務を遂行してくれているはず、
と、信じているから平気なんだと思います。


#とか書くと「家ではびーびー泣いてるくせに…」とか言うひとがいそうですが
きっとオトナだからそういうことは見てみぬふりしてくれると思います。


小さな会社は言い訳できない

今の会社に最初の社員として飛び込むことにした理由は、
会社や上司のせいにしながら仕事をする自分はもう嫌だ、と思ったから。


大きな会社にいたころはうまくいかないと「上司が稟議を通してくれない」
「ここはそういう社風だし、しょうがないから」でお茶をにごせていて、
わたしは人より100万倍言い訳がましい人間だという自覚があるので、
そういう自分が嫌で、でもなかなか直せなくて、ずっと葛藤していました。


もちろん物事の選択っていくつもの理由が絡み合った結果だと思うのですが、
今回の流れで選択した理由をひとつ挙げるのであれば、
「言い訳ができない環境」に飛び込んで退路を断とう、と思ったから。


とはいえ未だに言い訳はしますし愚痴も言うし泣くし
もうやだよ〜無理だよ〜〜と未だに思うことも多々あるのですが、
それ以上に逃げられない環境、何かを変えようと思えば変えられる
という立場にどっぷりはまった責任感、というのを感じます。


自分ががやらなきゃ会社がつぶれる。
こういう重責を楽しめる人であれば、零細企業に行くことをおすすめします。


そしてコミットするためにはその会社の代表の考え方や
価値観や目指すところに共感できないといけないわけなのですが、
ここはもう結婚と一緒で、出会ってしまったら飛び込めばいいと思う。


出会うまでは、目の前のことを必死にやり続けるしかないと思います。
必死にやって、できる力がついてきたら、そうしたら向こうからやってくるので。


来なかったら、そういうものだと思ってください。

いい/悪い より 合う/合わない

働き方は生き方だと思います。


大企業で勤めるほうがいいとも思ってないし、
ベンチャーでバリバリだぜ☆がかっこいいとも思わない。


自分の生き方にフィットした働き方が出来ているかどうか。
それだけだと思います。


なので、大企業でも零細でも、選んで飛び込んだのであれば
自分の選択に自信を持って、必死でやって後ろは振り返らず、
ポジティブに考え、ネガティブにシミュレーションをして、
明るく笑顔で進んでいけばいいと思う。


ちなみに、わたしが大企業→零細ベンチャーに移って
いちばん最初にちきしょう悔しいなあ、と思ったこと。


友人と飲んでいて言われた、
「お前の会社なんて誰も知らないし、無名の会社のお前と
初対面で話すことに大多数の人はメリットを感じない」
という言葉でした。(あくまで仕事上で、という話です)


名刺の威力は思ったより強くて、ああ、今までの人は
わたしじゃなくて、わたしの会社と話したしたかったんだなあ、
と改めて、本当に肌で実感したひとことでした。


それまでのわたしは、会社の知名度に
下駄を履かせてもらってることを実感できずにいました。


自分の実力だぜ、と思っていたプロジェクトでも、やっぱり会社の名前、
安心感であったりブランド力であったり、という大きな後ろ盾があったからだったんですよね。


まずはそれを認めて、わたしには何もないんだ、
作るところから始めなきゃいけないんだ、と自覚して
プライドの葛藤を乗り越えるところからはじめました。


これは乗り越えられてよかったと思う。
そういう気付きもあったりして、自分がむき出しになった、
というのは、零細ベンチャーで得らえた大きなことがらでした。

最後に


いま大企業から転職して零細ベンチャーに行こうと思ってる人、
もしくは起業しようと思ってる人、あなたの今の名刺から
今の会社のロゴマークが消えたとき、時間をくれる人は何人いますか?
話を聞いて、相談にのってくれる人は何人いますか?


10人?30人?50人?100人?
たぶん想像している人数の約半分だと思います。
もっと少ないかもしれない。


今まで普通に話せてた人が忙しいといってドタキャンしたり、
メールの返信をしてくれなくなったり、少なからずあると思います。


まずは「○○社の××さん」ではなく、「自分という個人」を
何人の人がちゃんと見てくれているのか、を考えてみてください。


もしくは、何人の人が自分に興味を持ってくれていて、自分は彼らに何を返せるのか。
そこが明確になっていれば、大企業でも零細ベンチャーでもどんな仕事でも、
働くことはきっと楽しいと思います。


まずはそこから始めてみるのもいいかもしれませんね。