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インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

映画「ムーンライト」感想文

初日に観てきたので感想を書きます。

少し前に「牯嶺街少年殺人事件」を観ていたのですが、この両作は、心の同じ部分を刺激してくるなあと思っています。

名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校ではいじめっ子たちから標的にされる日々。自分の居場所を失くしたシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だった。 高校生になっても何も変わらない日常の中で、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れることに…

映画『ムーンライト』公式サイト

「リトル」というあだ名だった少年シャロンが、ある事件を経て「ブラック」となり、大人になって、友人ケヴィンと再会する、というのが、大まかなあらすじ。

ポスターが美しくて公開を楽しみにしていたところアカデミー賞作品賞を受賞となり、題材的にいろんな人のレビューが上がる前に早く観たいと思ったのですが、正解でした。これはあまり前提を頭に入れない状態で観たほうがよい映画で、しかも、劇場のあの空間で観るべき作品だと思います。

物語としては様々な角度から話せる内容です。人種、セクシュアリティ、親子関係、友情、などなど、見終えたあとには本当にたくさんの感情と思考の連鎖が起きて、混乱しました。

シャロン父親のように見守り「自分の道は自分で決めろ」と諭すフアンは人格者のようですが、実際はドラッグの売人であるように、登場人物や事件すべてに明確なポジジョンは与えられず、ただそこに事実として、あるもの/あったもの、いるもの/いたものとして存在させています。善悪や白黒を明確に提示せず事実として映像に映しとり、わたしたちの実際の生活のように劇的な解決は起きず、時間はただ、流れてゆきます。その中で主人公のシャロンは、じっと痛みに耐えるように、目を伏せている。自分が無力だというのを何度も思い知らされて、どうすることもできないのを知っている、というまなざしと、彼が築いた「ブラック」という、新しい自分。ひとりの少年の人生の一部を、息をひそめて見つめていたような2時間でした。

シャロンが耐えた痛みは、どこかでわたしも通過した痛みで、そして今ではもう忘れてしまっていた痛みでした。なぜ忘れてしまったのだろうと思いましたが、忘れなければ生きていられなかったからだと気付き、そして痛みを忘れられたのは、シャロンがケヴィンに触れたあの美しい夜のような出来事が、わたしにもあったからでした。

そのことを静かな波のように思い出して、見終えたあとには世界が少し変わって見える、そういう作品でした。映像は美しく、月明かりに光る肌の輝きやまっすぐ見つめる瞳の強さに、目を奪われます。なのでぜひ、劇場で観てほしいと思います。

ちなみにサントラも超よかったです。

ムーンライト

ムーンライト

 

忙しいながらも細々と映画を観れているのでうれしい。その中でも時間を作って観にいってほんとうによかった、と思えた作品でした。

今日はそんな感じです。

チャオ!

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