インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

よわくてもろい

f:id:hase0831:20180601121754j:image

娘を産んで3週間が過ぎた。新生児というのは本当に柔らかく、柔らかいランクでいうと猫を上回る。実家で飼っていた犬を抱いていたときには、この世にはなんて温かくて柔らかい生き物がいるんだろうと思っていたが、猫を飼い始めてその思いは上書きされた。抱き上げたときの猫はまるで液体のように柔らかい、と思っていた。しかし新生児はそれをさらに上回る。我が家の猫は約5キロ、成猫のオスということもあるが娘よりも今のところ身体が大きい。娘の体重は約3.6キロ。身長は出生時の計測でいえば47センチ。小さい!小さすぎる!3.6キロなんて、精米ひとふくろよりも軽い。そして柔らかい。というかそもそもまだ首が座っていないので、抱き上げたとき首の後ろを支えないと、頭がぐらんぐらんして落っこちてしまうのではないかと思うほどだ。

こんなに弱くてもろい生き物が、しかも犬や猫と違って目を離さず世話をしないと簡単に死んでしまうような生き物が我が家にいる。我が家にいる、というか自分の腹の中で約10ヶ月かけて育み、大量の血と水分と共にこの世に排出したのだから「我が家に来た」というほうが近いのかもしれないけれども、ともかく、赤ん坊というのは本当に弱くてもろい。どうやら脱臼もしやすいらしく、服を着せるにも神経を使う。前述したが抱き上げるときには頭の後ろを支えないとガクンと首が落ちるし、ミルクを飲ませたあとにゲップをさせないと間欠泉のごとく口から飲んだミルクを吐き出してしまう。なんて弱い生き物。

 

そんな弱い生き物との同居が始まり3週間。自分の弱さも見えてきた。「育児は大変だから子育て中のパパやママを労いましょう」という記事の「育児は大変」部分に過剰反応してしまい、この先、この記事のような事態になっても自分はちゃんとこの子を育てられるのか、今でさえ手一杯に感じるときがあるのにこれ以上大変になったらどうなってしまうのか、と気持ちがたいぶ滅入った。滅入ったついでにツイッターで愚痴を書いてしまい、様々なアドバイスや暖かい言葉をもらって自分の心を慰めるという大人としてはちょっと恥ずかしい行動に出てしまった。ああ、わたしだって弱くてもろい。40年、なんだかんだいろんな経験をしてきて、仕事でも嬉し泣きは増えても悔し泣きはほぼしなくなった。はずだった。要するに「できる範囲」が広がり、調子こいていたのだ。

 

それがどうだろう。子供を産んでからというもの、身内の言葉に落ち込んだり、アドバイスが脅しに感じられてしまったり、助産師の指導に追い詰められてみたり、からっきし余裕がない。妊娠中、あまり文章を書く気が起きなくなってしまったときは「まあこれもホルモンバランスの変化だろう」と鷹揚に構えていたけれども、産んでからこっち、どうやらそうもいかない。ホルモンバランスの変化だ、疲れの蓄積だ、とわかっていても、いろんな言葉や文字が自分の周りを取り囲んで、ジリジリと追い詰めてきているような気持ちになってしまう。

 

と思ったところでややホッとしている自分もいる。愚痴を書いたおかげで、心優しい人たちからアドバイスがもらえたことだ。思えば仕事面ではここ10数年、アドバイスをする側ではあっても愚痴ったりアドバイスをもらうことは減りつつあった。誰かの不満を受け止めることはあっても、自分の不満をぶつけるのはしにくい立場にここしばらくは居たように思う。でも考えてみれば、子供が生後3週間ならわたしも母親着任3週間、まだピカピカの新人なのだ。アドバイスをもらったっていいじゃないか。そう思うと、心が軽くなるような気がした。

 

なんだ、弱くてもろくたっていいんじゃないか。だってまだ新人なんだから。と開き直りの境地で、もうしばらくはこの弱くてもろい生き物と、弱くてもろい自分と付き合っていけそうだと思う。

 

今日はそんな感じです。
チャオ!