ちょっと前なんですけれども、「ニンフォマニアック」Vol.1と2を見ました。2本連続で。年末、見に行った人たちの会話がある場に居合わせたときそれぞれ意見が違って面白かったのでわたしも感想。
主体的に生きる爽快感
あらすじでいうとニンフォマニアック=色情狂の主人公が自ら語る女の一代記 featuring 頭でっかちおじさん、って感じなんですけど、彼女の人生が章仕立てで展開されていきます。
性のめざめからロストヴァージン、その後の男性遍歴やら修羅場やらを淡々と語るんですけど、なんか「〜された」感がなくて、かっこいいなと思いました。ぜんぶ自分から選んでいるし、もちろん誰かに影響されてとか誘われてみたいなのもあるんだけど、主人公が主体的に行動していて、誰のせいにもしていない。
自分がしたいからして、そこで起きたトラブルも苦悩も、ぜんぶ自分で引き受けてる。わたしはもう基本的に言い訳とか人のせいにしてばっかりの人生なので、ものすごく刺さりまして、ああいうふうに生きていきたいなと思いました。
ただ、通り過ぎて行くだけ
「愛とは、嫉妬交じりの強い性欲にすぎない。」っていうキャッチコピーに「ですよねーーー!!!!!」ってなったんですけど、まあつまりそういう感じで、主人公は関係を持った男性たちに感情移入していないんですよね。
もちろんその過程で優しくしたり良好な関係を構築していたのかもしれないんですけど、終わったものは終わったもの、として受け容れていて、唯一、初めての相手だったジェロームにだけ若干の執着を見せつつ、それでも自分の欲望のほうが優先度が高い。感情の純度が高くて、そこにもまたしびれました。
個人的にはセックスセラピストの「K」の描写がめちゃくちゃツボでした。余談。
救済なんてない、そのリアル
主人公は集団カウンセリングとかにも参加するし色情狂である自分を変えようといろいろトライするんですけど、最終的には失敗して、人生ごとめちゃめちゃになっていくんですね。
自分の半生を語る中で何度も「自分は悪い人間なのだ」と語るんですけど、もう「無理なもんは無理」っていう空気がバリバリある。とはいえ、自分の半生を語ったあと、ラストで「わたしは自分のセクシュアリティを排除する、してみせる」と決意するんですよ。そんで頭でっかちおじさんも「うんそうだねそれがいい」みたいな空気出して、「やあ朝が来たよちょっとおやすみ」みたいな感じでフワ〜ッときれいに着地しかけるんですね。
ここで個人的にはえーマジかよジョー、あんたはそのまま生きてくれよと思ったんですけど、そのあともうゾッとするほど最高にクソな展開でスパーンとエンディングを迎えるので、そこが本当にリアルで最高でした。この絶望の感じ、知ってるぞ、と思った。わたしはそれに立ち向かえなかったけど、でもそこですべきだったのは絶望して泣くんじゃなくて、銃を取ってぶっぱなすことだったんですね。
しでかして反省して振り返って決意をしたって、結局この世界は変わらなくてクソなものはクソで、自分がすがすがしく変わったとしてもクソの中でなんとかして生きていかなきゃいけないことに変わりはなくて、自分語りした後ってなんとなくスッキリしてすがすがしくなっちゃうんですけど、そういうのをブン殴って思い出させられる終わり方だったので思わず「いいぞ!最高!」って声が出そうでした。エンディング曲も良かった。
元々の概要と映画が始まったときに、物語が描かれていく中で「こうなったのは両親、とくに父親との関係が影響している」とか「セリグマン(頭でっかちおじさん)と心の交流が持てて二人は性別を越えた親友となったのでした、めでたしめでたし」みたいな落とし方になったら嫌だなーと思ってたんですが、そこらへんは無事回避されていて安心しましたので、DVDとかになったらまた見ようと思います。
今日はそんな感じです。
チャオ!
と思ったら無修正版が出てた。モザイク多すぎてよくわかんなかったシーンがあったので、買おうと思います。