インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

やりたいことがない人に「やりがいを持て」と強要する拷問

甘やかして、世界で勝てるのか:日経ビジネスオンライン
ファーストリテイリング・柳井正会長が若手教育について語る
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246495/

強烈でした。
ただ、タイトルに悪意があるというか、本文をじっくり読むと、わりと共感というか、「そのくらいなりふり構わずやらないと今の日本企業って超ヤバイ立場にある」というのには同意。


これに関連したエントリをいくつか読みましたが、個人的な着地はここと同じです。

社畜に経営者目線は必要な奴にはいるが、必要ない奴にはいらない。(あるに越したことはないと思うけど。)そして全員にそれを強制するような会社には多分「経営者目線が必要な人間」しか残らないので、「必要ない」と思っている人間からの批判は外からのものであり、そんなもの「会社の社訓」みたいなもんだから放っておけばいいのでは、会社の評価はそんなところでなくて業績でしょ、というものである。


社畜に「経営者目線」は必要なのか?について雑に考えてみたhttp://tororosoba.hatenablog.com/entry/2013/04/16/212608


以上!という感じなのですが、ユニクロ柳井というと闇雲に叩きたがる人がいて、そういう空気に流されて「そうなんだ!ユニクロだめなんだ!」と思っちゃう人がいるのもなんかなあーと思うので、詳細書きます。

柳井さん、そんなにダメかな?

いくつか引用しながら…

 特に長年働いている社員の中には、僕が急に「グローバル」と言い始めたことで、戸惑っている人も多かったんです。彼らは彼らで、小売業やサービス業に従事するビジネスパーソンとして、非常にいい仕事をする。ですからグローバルとは別に、それはそれとして評価すべきだった。そのあたりの配慮が、ちょっと足りなかったんでしょう。

 これまで我々は、入社半年から1年で店長になるべきだという教育をしてきました。ですが店長資格が取れず、失望して辞める人はすごく多いんですよ。

 たとえ店長資格を取っても、能力や経験が足りないまま現場に出れば、当然戸惑ったり、精神的に追い詰められてしまったりする。

 それなのに我々は店長として何をすべきなのかという「技術」ばかり教育していた。これが一番の問題であり、失敗だと思っています。

もっとキョーレツ経営者で「ついてこれない奴らは無能!」くらいの切り捨て方をしてるのかなと思っていたのですが、それはそれ、これはこれ、「配慮が足りなかった・失敗であった」と過ちであったことを表明したのはすごいと思います。


で、「甘やかし」のタイトル元になったのはこのあたりかな?

 これもよく批判を受けますが、僕は将来、本当に若者が活躍できる世の中になれば、25歳以上は全員対等に評価すべきだと思っています。科学者やスポーツ選手もそうですよね。年齢など関係なく実力で評価される。ビジネスパーソンも同じようにすべきではないでしょうか。


 25歳くらいまでに基本的な考え方を決めて、努力を重ねて35歳くらいで執行役員になる。そして45歳くらいでCEO(最高経営責任者)になるのが、正常な姿だと思っています。


 だからこそ、若いころに甘やかされてはいけないと思っています。時間給の人々を批判するつもりはありませんが、それと同じような心構えで若いころから仕事をしないほうがいい。


 人間は、仕事以外で成長する方法はないんですから。


甘やかして、世界で勝てるのか:日経ビジネスオンライン
ファーストリテイリング・柳井正会長が若手教育について語る
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246495/

仕事以外でも成長する機会っていっぱいある

ここはもう語り尽くされてるとは思いますが、「人間は仕事以外で成長する方法はない」には違和感。


わたしは「成長」を「今まで出来なかったことが出来るようになる」と捉えているので、仕事以外でもそういう機会はたくさんありました。イベント主催でもそうだし、結婚生活でもたくさん成長してきた自信があります。
その成長も、辛く苦しい道のりを血反吐を吐いて死ぬ気でやって…というよりは、好きな人と、好きなことをより楽に・もっと楽しくやりたいなーと思ってしてきた工夫が効いて、気づけば成長できてたねー、という感じなので、印象が違う。


その点については、わたしも脱社畜さんのブログに同感です。

具体的なスキルの向上にしても、人間的な成長にしても、そのための題材は仕事以外のところにもたくさん転がっている。仕事だけが、成長の手段というわけではない。仮に、仕事を通じて成長することが一切なかったとしても、それでその人がダメな人だということには成り得ない。


仕事を通じて成長なんてしなくていい- 脱社畜ブログhttp://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/04/19/204222


ただ、仕事が大好きで、人生の大半を仕事にささげている人が「仕事以外で成長する方法はない」というのも理解できます。だって仕事しかしてきてない人には、そういうことってわからないですよね。


でも、働くみんなが全員、「仕事大好き!」ってわけじゃない。
自分もそうですけど、仕事以外にもたくさんやりたいことはたくさんあって、それぞれの優先順位や価値観がある。そういう人たちに、「俺と同じように人生を仕事に捧げろ」というのは無理だと思うんです。


であれば、早いうちから会社側に「うちはこういう仕事キチガイの会社だから、それ以外のやつが入ってくるとキツイよ」と表明しておいてくれればいいのにーと思っていて、そういう意味では「俺はこういう人間でこういう価値観で会社をやっていくから、それに共感出来る人だけ来てくれればいい」という主張を、ブラック企業と言われてもし続ける柳井さんはすごいなーって思いました。


余談なのですが、「金を稼ぐ」っていうのが昔と比べるとけっこうシビアになってきてて、「会社に入って決まった時間に行って決められたことだけをやる」人ばっかりだと会社が給料が払えなくなりそうになるくらい景気がヤバイ!みたいなのが実感としてあるのですが、意外と他の人はそうでもないのかな?

結局ヨソはヨソ、うちはうち

あと、本文を読むと「年齢に関係なく出来る人間は評価して見合った立場に引き上げる」と言い切ってる。「上司がバカでクソボケで仕事がつかえてる」と愚痴ってる人にはぴったりじゃないですか。評価がどうなっているか、正当に判断してもらえるのかはわかりませんが、それはどんな会社でもよくある話なような……。


なので、そういう社風に納得できる人がどんどん入社すればいいじゃん(わたしはしないけど)、というだけの話だとは思うんですが、人が過労死したり洗脳して辞められない状態に追い込んだ上さらに締めあげてこき使おうとするのは良くないので、そういうのは止めたほうがいいよねーと思ったりもしました。
それはやまもといちろう氏のブログにあった通り。

経営者の弁はともかくとして、現行の労働基準法がどこまでしっかりと守られた上でのことなのか、むしろそっちに興味がありますね。


ユニクロといい、ワタミといいhttp://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/04/post-82b2.html


わたしも「言ってることは正論なので、労働基準法をきっちりキレイに守った上で言ってるか次第で評価が変わる」という感じです。労働基準法をきっちり守って社員の権利を守った上でこの主張なら、めっちゃカッコいい。なんかそうでもないっぽいですけど……。

「柳井正は人として終わってる」 鬱→休職→退職の新卒社員が語るユニクロの人材使い捨てぶりhttp://www.mynewsjapan.com/reports/1734


一方で、ある程度人数が大きくなった会社って「やりたいこととかないので、言われたことだけやります」という人は一定数出てきてしまうわけで、そういう人たちのマネジメントをどうするか、受け皿をどうするかっていうのは引き続き考えていかなきゃいけないんだろうなー。
一番簡単なのは「キミは使えないから早く辞めてくれ」っていうことなんでしょうけど、それはそれでまた捻じ曲げられた「暴露話」が出てきたりしそう。
経営者って大変ですね!

やりたいことがないなら無理しなくていい、でもそれだけだと会社もキツイ

結論、人生を仕事に捧げる必要とかまったく無いし、やりたいことがないなら「やれること」にフォーカスしてやればいいと思います。むしろそれを強要するほうが会社側も負荷が高いんじゃないかなーって思ってるので、そういう教育しようとしてる会社とか見ると個人的には「よくやるなあ」とう感じです。


なのですが、そうやって「自分が会社に居ることでいくら費用がかかっていて、ボーッとしてお金を稼がないことが会社にとってどれだけ負担になってるか」みたいなのは意識しといたほうがいいかもしれません。
だって会社が潰れたら面倒くさいもん。というかこのポイントを意識して「もらってる給与と支払われてるコストぶんくらいは会社に利益戻してるから、いーじゃん」って動きを取れると、結果的に自分も楽になると思うよ。そしたら会社が潰れても、どこへでも行ける。


いろいろ書きましたが、こういうキョーレツ経営者さんがモーレツに努力しているおかげで、わたしはユニクロで激安衣料が買えてるんだなーってことを忘れちゃいけないなーって思ったりしたのでした!