インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

対話コストと時間コストの話

時間の節約とか効率化とか割と好きなんですが、そこで生まれた余剰時間の使い方についてはあまり触れてこなかったので、そのへんについて考えてみたことを備忘。

対話コストについて

最近、映画製作のデスクみたいな仕事をやることがあって、その時に色々考えたことがあります。

人と人とが時間をかけて調整するべきことってたくさんありますが、その中でも特に相手の意見を聞いたりこちらから確認を取ったり、丁寧にやらなければいけない重要なポイントがあって、それさえ外さなければ、全部が均一の濃さでなくてもいいんじゃないかなーって。

言い換えると、効率化して生まれた時間を、重要なタスクを丁寧にやるために充てることが、業務効率化の本来の目的なんじゃないでしょうか。重要なタスクに健康で健全な心身を保つ、も入りますしむしろそこが超重要なんですが、話が逸れちゃうのでこれはまた別の話。


で、重要なタスクとそうでもないタスクについて、なんとなく流れに沿って振り分けてみると、こんな感じ。

 段 階  濃度 頻度
着手・契約  濃  多
進行・進捗  薄  多
納品・検収  濃  少
支払・受領  薄  少
着手・契約

まずお仕事の依頼があり、要件の確認とか価格の交渉とか、重要な決め事を行うときには、なるべく濃いコミュニケーションを、お互いが納得できる回数行うこと。ここを雑にして、お金の話をウヤムヤにしたり、要件のヒアリングが適当だと、後で必ず事故る。

進行・進捗

いざ進み始めたら、今どのようになっていて、問題があるのかないのか、スケジュールはオンタイムなのかディレイしているのか、みたいな、頻度の高いやりとりが発生する。この場合、いちいち丁寧にかまえていると情報共有の精度が落ちるので、お互いが確認しやすく・頻繁にチェックできる方法を取る。

納品・検収

着手・契約で取り決めた内容と納品物を照らしあわせて、問題ないかの確認をとる。これは納品する側も同じで、後出しでいろいろ言われないように、なるべくリスクを潰しておく。(言われるときはどうせ言われるけど、こちらから確認した、という事実があるだけで後々の交渉に有利)

支払・受領

事実の伝達は必要で、そこを外してはいけないけれども、行うことは「払ったよ」「もらったよ」の確認だけなので、大仰にするよりは素早く終えて完了することの方が大切。(未払いとかはまた別次元の問題なので、ここでは除外)

時間コスト

で、このへんを守れていれば会わなくてもオンラインですべてが解決するんじゃんねー?と思っていたんですが、そうでもないようで、

米Yahoo!CEOの「在宅勤務禁止令」から見えてきた在宅勤務/オフィス勤務のメリットhttp://www.lifehacker.jp/2013/03/130312work_from_home.html

このニュースを最初見た時は「うえええめんどくせえええ」と思っていたのですが、何でそんなことを言い出したんだろうと考えてみて、実際に顔を合わせたり一緒に過ごす時間の母数が増えないと得られないコミュニケーションの種類があるのかなーと感じました。


以前いた職場で切羽詰まったリリースが続いていたとき、あえて毎朝10分だけ集合してプロジェクトメンバーが全員顔を合わせる、というルールを実施していた上司がいました。
そのときに感じたメリットは

  • 毎朝必ず同じ時間に顔を合わせることで「あっ、あれを言い忘れた」が減る
  • 簡単な進捗と問題点をサッと話してもらうことで、各自が自分の状況を俯瞰できる
  • 顔を合わせることで相手の状況や体調がなんとなく分かる

あたり。
とくに顔を合わせて話すことで得られる情報量ってすごく多くて、具体的に聞かなくても「なんか調子悪そう?」とか「何か抱えてるな」みたいなムードが伝わってくるんですよね。


プロジェクトの管理者としては細かい進捗を各論でネチネチ詰めるより、全体がつつがなく目標に向かって進行しているか、今は大丈夫でも誰かコケて事故りそうな気配はないか、みたいなのを大局で見ることが重要で、そのためにはメール10通の対話コストよりも、たった10分の時間コストの方が効率よく状況を掴めたりするんだろうなと思いました。
(ちなみに、ここで「調子悪そう?」の理由を勝手に踏み込んで「彼氏と喧嘩した?」とか「失恋した?」とか聞くとクリティカルにセクハラだしすごい失礼なので、同性異性問わず、言いたくなってもグッと堪えるほうがいいです。あ、調子悪いのかな、の状況把握と「大丈夫?」くらいの、何となく気付いてるよフラグを立てるだけで十分)


で、これ以外にも時間コストを積み上げることでしか出来ない関係性とか、共通の価値観みたいなのがあって、そういうののためにオッサンたちは「飲みニュケーション☆」とか言って集まりたがるのかもしれないなーと思ってます。
なので、昔は職場の飲みとか取引先との会食とか超ウザいと思ってたんですが、最近はそんなふうに思い直して、時間コストでしか得られない情報をなるべく積もうと思います。


時間コストを積み上げることで得られるようになったなーと自分で実感しているのは、

  • 下らないネタでも共有することで、見えない共通の価値観が出来上がっていく
  • 「そういえばさー」レベルの思いつきでも言いやすくなるし、話すことでアイデアも膨らむ
  • かしこまって質問するまでもないけど、これってどうしよう、と思ってることを相談しやすい

あたりでしょうか。
同じ釜の飯をうんちゃらとかってこういうのを指すのかもしれないですね。


なので、どんなことでも一長一短だとは思うんですが、その方法を採用することでどんな良いことがあって、良くないことがあって、問題点はどうやってカバーしていくかを常に考えて改善していくと、全体的な幸せ度が上がっていいのかもなーって思いました。おわり。