インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

怒りから根本的解決は生まれない

パワハラと戦うことは、そんなに難しい事じゃなかった。http://anond.hatelabo.jp/20121007170510

言及感謝いたします。
個人的所感を備忘。

僕の場合の話をする。
ある日僕は、溜まりに溜まった残業代とパワハラの慰謝料をセットにして、内容証明を社長と会社宛に送りつけた。
2年間で4000時間近く溜まった残業代は1000万円に届きそうだったし、パワハラは適当に100万円くらいにして出した。

http://anond.hatelabo.jp/20121007170510

これはわたしのごく個人的な感想なので、色々な捉え方があってよいと思いますが、わたしは戦うことを是としません。
戦うためにはその相手と対峙する必要があって、わたしのことを大切にしてくれない相手に割く時間を、1分だって持ちたくないからです。


同僚で「この問題を労基に持ち込んで裁判にする」と息巻いている人もいました。

不当な労働を強いられていることに対しての怒りは尤もで、拒否すべきだと思うのですが、その裁判のために様々な証拠を押さえようとしたり、一緒に訴える人を探そうとする労力が、生産的なものとは感じられませんでした。
だったらさっさと転職するなり、職場環境を変えようとするなり、プラスの方向に自分の時間を使えばいいのにな、と思ったのです。


この記事でも、書かれたご本人は溜飲が下がったかもしれませんし、正当な手段を行使して自分の尊厳を守るのは正しい行動だと思います。でも、それにかかる少なくない時間や費用を考えたとき、返ってくるものがそれに見合うかといえば、わたしにはそうと思えないのです。


「会社」という得体の知れない大きな生き物も、中にはたくさんの人達がいます。「社長」という遠い存在の人も、普段の生活があり、悩みがあり、苦労があります。それぞれの人に、それぞれの人生があって、考え方も様々です。価値観がズレていたり、体力に違いもあるでしょう。健康さだってそうです。人には向き不向きがあり、適材適所に人を配置するのが管理職・経営者の役目であって、それが果たされていないのであれば抗議するのも必要です。


大義のもとに「戦う」のは勇気のある行為だと思いますし、それをした人を責めるつもりは毛頭ありません。
ただ、その行動を「他の人のためにもなった」とすり替えてしまうのは、とても危険だと思うのです。あくまで「自分のため」「自分の名誉のため」であるべきで、「残された社員のため」と言い始めた時点で、だんだん目的がズレていくのがわたしは怖いです。


訴えたことで現状が変わったのなら結果オーライでしょう。でも、怒りや強硬な態度から、根本的な解決は導き出せるのでしょうか。そして、その行動が会社を変えたとしても、ぼんやりとその幸運を享受しただけの元同僚たちは、結局また同じように、違った点で搾取されていくのではないでしょうか。


伝わりにくいかもしれませんので、なんべんも書こうと思いますが、「個々人」が声を上げ、行動をして、自分自身の生活を変えようとすることが大切です。その行動を、「誰かのため」とすり替えないで欲しいのです。
自分が、自分自身のためだけにした行動が、結果的に他者のためにもなった、ただそれだけのことです。