インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

あなたの人生はあなたが生きるもので、その人が生きるのではない

女子高生 「私この絵で就職するんだ…」 → 教師 「これが精一杯…」 採用担当 「残念ながら…」
http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52373634.html

夢を諦めさせる
http://anond.hatelabo.jp/20100917191635

ちょっとモヤモヤしたので、備忘します。
もしあなたが将来に悩んでいて、あなたより少しだけ長く生きている(かもしれない)わたしのこのエントリが、ちょっとでも役に立つといいなと思います。

「いつかは自力で稼いで食べていく」ことは大前提

ほとんどの人が、いつかは自活しなければいけません。

親元を離れ、自分で働いて稼いだお金で住むところを確保し、生活を営んでいく必要があります。親がものすごい資産家で、とか何らかの不労所得があって働く必要がない、という人は除きます。

  • 好きなことをやって生きていきたい
  • ○○になるのが夢

そう思うことは素敵ですし、思っていたことがやれる、というのは楽しいことです。ただ、その前に「それで稼いで食べていけること」が大前提なのです。

仕事は会社に入らないとできないわけではない

当たり前すぎて恐縮ですが、(違法でない)仕事をしてその対価としてお金を貰い、生活していけるのであれば、なんだっていいわけです。

  • 会社に入らなければ絵は描けないのか?
  • 就職できなければデザイナーと名乗れないのか?

これらの答えはNOですよね。

ただ単に、会社に入るほうがお金が入ってきて、生活していくイメージがしやすく「自分は何でお金を稼いで食べているか」を第三者に説明するときに肩書きがあってと楽、というだけです。


名刺を見た瞬間に「ああ、この人はこういう人ね」とカテゴライズする人がいますが、ゼロから相手のことを想像し、質問して引き出していくよりも、確かにそっちの方が楽ですよね。

「わたしはこういう者です」が「○○社で営業やってます」の一言で言えるのは、実はすごく楽で、安心できることなのではないでしょうか。例え、その会社が来月倒産するとしても。

「楽をしたい」と「楽にやりたい」は別物

では、なぜそれでも会社に就職しなきゃ…と思うのか、をもう少し考えると、前項でも述べたように「仕事をしてお金を貰う」イメージが一番しやすいのが「会社に就職する」ことだからなのではと思います。

自分で考えたり、選択肢を探したり、いろいろ調べなくても、だいたいルートが出来ているのでそこに乗っかればOK、というわけです。

なのですが、すべての人が会社に入って勤め人になることが「楽」かというと、また違うのではないでしょうか。


わたしの身近にいる会社員ではない友人たちに聞くと


「通勤電車に乗って毎日同じ場所に通うのが苦痛」
「関係ない仕事や人間関係を受け入れることができない」
「会社のために主義主張を曲げることがどうしてもできない」


という意見が多いのですが、要するに

会社員になることで得られる生活の安定 < 不安定でも得られる心の自由さ

という価値観を持っている人たちです。


もしくは、就職(この場合は『就社』に近いですが)することで得られる安定よりも、「就職することで受ける苦痛を我慢しなくていい」方が自分にとっては優先度が高い、と考える人たち、ということではないかと思います。

そうやって生きていくほうが「楽」だというだけで、これと「夢を叶える」だの「諦める」だのは、まったく別次元のお話だと思います。

「夢が叶」っても、食べていけなければそれは「仕事」ではなく、単なる趣味です。また「夢を諦めた」としても、きちんと仕事をして自活しているのであれば、それは素晴らしいことで、なんら恥じることはありません。

心と身体はつながっている

会社に勤めることで、おおよその安定と他人に説明しやすい肩書きは手に入ります。それは非常にシンプルで、親や周りの人にも説明しやすいことでしょう。

なのですが、前述のように「会社勤めが苦痛で、安定を捨ててでも違う方法でお金を稼ぎたい人」というのは、多くの人がなんでもないようなことだと思っていることを、とても苦痛に感じているのではないでしょうか。


「我慢できないこと」が「我慢できること」を上回ったとき、人間は精神のバランスを崩しやすいです。精神状態はそのまま体調につながり、病気になったりします。
メンタル以外にも、分かりやすい例だと胃潰瘍などがそうですね。


こうなると「稼いで生活していく」こと自体が破綻してしまうので、「我慢できること」の多い生き方にシフトしていった結果、フリーランスになったり、小さい会社を作ったりするのだと思います。

いい悪いではなく「自分が楽に生きられる」ことが大切

そうすると、この場合「夢を叶えられなかったから負け組」「なりたかった職業につけたから勝ち組」という発想は第三者からの評価でしかなく、自分自身がどうしたら楽に生きていけるか、を考え抜くほうが生産的です。

  • 自分ひとり・もしくは自分の家族が食べていけて
  • 「我慢できること」が「我慢できないこと」より多い仕事

それはいったい何か?ということを探すだけです。

会社に毎日同じ時間にいって、人間関係のバランスを取り、毎月きちんと「お給料」が貰える

収入は不安定だが、苦手な人づきあいや、納得できないことをしなくていい

のどちらが精神的に健康で、気楽に生きていけるか、を考え、「こちらの方が我慢できることが多そうだ」という方を選びましょう。

「貧乏には耐えられるが理不尽な上司に頭を下げたくない。だから一人でやっていく」というのであれば、それもまた選択肢の一つだと思います(「自分で稼いで生活する」という前提が守られていれば)。
もしもあなたが「定期収入がなければ精神の安定はない。そのためなら多少の理不尽は飲む」方を選ぶのであれば、それも立派な決断です。


もちろん、あなたがした選択に否定的になる人もいるかもしれません。でもあなたの人生はあなたが生きるもので、その人の人生ではありません。


その人が言うのは「その人が楽にできること」であり、「あなたが楽にできること」ではありません。あなた自身が自分で調べ、考え、判断をして、選びましょう。

お仕事関連エントリもよろしければ

土下座の真意/いい悪いより合う合わない
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改めて見直すと文章も構成もバラバラですね…
お恥ずかしい限りですが、よろしければお時間あるときに。


振り返ってみてなんでこんな熱くなって長文を書いたのだろうと我に返ったのですが、なんとなく「会社員なんて…」とか「好きを仕事にした人が勝ち」みたいな印象がして腹が立ったからのようです。
満員電車に乗って毎日同じ場所に行き、理不尽をこらえ、調整に頭を痛めながら進める仕事と、寝る時間もなく収入も立場も不安定で、ときには自らを削るような思いをしてする仕事は、どちらも良いところがあり、悪いところがあります。等価値なのです。


なので「自分が楽に生きられる」「呼吸が自然に出来る」生き方は何かを考え、探して、選んで欲しいと思います。

このへんも読むといいかもしれません。

「もっと教えて!みんなの仕事」オープンによせて−13歳のハローワーク

抜粋:
(前略)「自分は小説家になりたいと思っているんだけれども、本当にそれはいいんだろうか」と誰かに聞いたってしようがないです。小説を書けばいいんだから。「フランス語の通訳になりたいんですけれども」といったら、まずフランス語を勉強すればいいわけですよ。だから、そういう質問ははっきり言ってよくないですよね。そういうのに答えているから、みんなわからなくなっちゃうんですよ。答えようがないです。「小説家になりたいんです」と言うなら、小説書けばいいじゃないですか。

 先ほどの話で、コッポラもきっとそう言いたかったんだと思うんですよ。「映画を撮りたいんだけれども、大丈夫かな」みたいな僕の甘えなんですよ。「コッポラが大丈夫だよと言ってくれたら、勇気が出るかも」という。でも、撮りたかったら、コッポラが何と言おうが撮ればいい。小説家になりたかったら、村上龍が何と言おうが小説を書いちゃえばいいわけですよ。そういうアナウンスが世の中に満ちていなきゃいけない。(後略)http://www.13hw.com/site_open/02.html