インターネットの備忘録

インターネット大好きな会社員がまじめにつける備忘録です。

2017年第35週の日記

もうすっかり秋!と思いきや蒸し暑くダルい日も交互に来る感じの1週間。平日疲れすぎてあまりよくなかったですが、週末の銭湯でしっかり切り替えできたので、まあよしとしましょう。あとは引き続きNetflixで「マスター・オブ・ゼロ」を観ています。おもしろいよ~~。

それでは2017年第35週の日記です。

20170904

所用あり遠方へ。ほぼ1日がかりだったため、クタクタに。帰りがけ以前の職場の同僚と軽く飲んで、近況報告。女性がわたし1人だったので「男同士だけで話したいこともあるでしょう!」とお金を置いて途中離脱。解散したあともメッセンジャーでワイワイやりとりをしてて、みんな体力あるなーと関心。

20170905

昨日の疲れを引きずりつつの1日。夜は初サンマ。フライパンでも焼けるということなので、クッキングシートを購入して挑戦してみたところ、上手に焼けました。魚焼きグリルの掃除がめんどい、という人にはいいかも!

クックパー フライパン用ホイル 25cm×7m

クックパー フライパン用ホイル 25cm×7m

 

20170906

昨日買ったサンマの残りが一尾あったので、炊き込みごはんにしてみました。生姜や茗荷をたくさん刻んで混ぜ込んだので、さわやかな仕上がりに。生臭くなるか心配だったけれど、一度フライパンで周りを焼いてから、炊飯器へ入れる、という手順に従ったら、問題なしでした。尾びれの周囲にぐるっと切れ込みを入れ、頭を引き出すようにすると中骨ごと内蔵がズルっと取れる、というテクニックも学んだので怖いものなしです。


超簡単!さんまのつぼ抜き方法

20170907

かなり前から進んでいた楽天「それどこ」さまへの記事が公開。銭湯に行ってみたいけど何を持っていけばいいの?という方向けのおすすめグッズ紹介でした。わたし自身も「何をどこまで持っていけばいいんだろう」と最初は試行錯誤していたので、助けになるといいなと思いました。

srdk.rakuten.jp

 

20170908

金曜日!またも遠方での所用を済ませて、帰りは恋人と待ち合わせ西日暮里へ。ずっと食べたかったホルモン焼き屋さんへ一緒に行って、たくさん食べていい気分で帰宅。しかし髪の毛から服から全部焼肉臭かったのが難点でした。ああいうお店の人、臭いがつかないコツとか知ってたりしないかしら。

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△壺漬け小腸の一本焼きです。おいしかった〜

20170909

疲れを残しつつもずっと観たかった「ダンケルク」を鑑賞へ、品川T・ジョイにて。戦争映画、本当にあった実話がベース、みたいなことよりも、水の怖さ、空を飛ぶ飛行機の美しさが印象に残った作品でした。

youtu.be

帰り道、そんなにお腹が空いていないけど軽くなにか食べたいね、と言ってフラフラした結果、本格的なナポリピザを出すお店を見つけて満腹。あまり寄らない角を曲がると、いいお店があったりしますね。ひさしぶりにワインを飲みました。

20170910

積み上がった疲れを癒そうと1日ダラダラの日。夕方遅めに銭湯へ行き、サウナと水風呂をたっぷり。そのままスーパーへ寄って、夕食の買い物。今夜は恋人が作ってくれました。銭湯帰りの風も気持ちよかったし、よい1日でした!

 

2017年第35週は、そんな感じでした。

チャオ!

「それどこ」さまへ銭湯グッズについて寄稿しました

引き続き銭湯に通っているわたくしですが、楽天「それどこ」さまにて銭湯グッズについて書きました!

srdk.rakuten.jp

初っ端から編集さんとおすすめの銭湯やおすすめの工夫の話で盛り上がって、楽しかったです!公開されてからたくさんの方にブコメをもらい、読んだ方の工夫もとても参考になりました!ありがとうございました!

 

ブコメにあった袋タイプの詰め替えグッズはフライングタイガーのもので、見つけた瞬間「絶対便利!」と思って恋人のぶんも一緒に買ったお気に入りです。2色セットで2〜300円位だったかな。袋タイプなので、使うほどコンパクトになっていくところが旅行などのとき特によいのです。

こういうグッズは暇があるときに100円均一とかフライングタイガーのような安価な雑貨店をぶらぶらして見つけているのですが、そういう日々のお楽しみが好きで、小さい工夫を重ねていると「あ〜、楽しんでるな〜〜」と思えてうれしい。100円均一のプラスチックのカゴに入れて持っていっていた時期もあるのですが、帰りにちょっとごはん、とかお酒を一杯、のときにかさばるので、今の形になりました。

銭湯のときだけの持ち物なので、普段買わないような、むちゃくちゃ派手とかブリブリしたものがいいな〜と思っているのですが、プリクラ機のメーカーフリューと100円均一のダイソーがコラボしている「ガールズトレンド研究所」なんかもすごく良いです。

ガールズトレンド研究所コラボ | ダイソー|ダイソーホームページ

第四弾まで出てるみたいですね。安いし誰に見せるわけでもないけど、ガーリーな持ち物を持っていると気分が上がります。

という感じで、今まで人に言ってなかった密かなお楽しみを公開してしまった気分ですが、参考になれば幸いです。ブコメも参考になるよ!

今日はそんな感じです。

チャオ!

2017年第34週の日記

お誕生日があった今週。いろんな人におめでとうを言ってもらって幸せでした。ありがとうございました。まだ暑い日も続きますが、風に秋の気配を感じますね。寒暖激しいので、どうぞご自愛ください。

それでは2017年第34週の日記です。

20170828

晴れて暑い日。朝からやや遠方に出かけ所用を済ませて、帰ってきたらもうクタクタで、恋人と駅で待ち合わせて外食。家に帰るやいなや、「おまけのお誕生日プレゼント!」と言いながら欲しかった写真集のプレゼントが。誕生日のプレゼントはもともと「これがいい」と決めてあったので、思わぬサプライズでした。「今日買ったばっかりで、誕生日当日まで黙っていられなかった……」というのがとてもかわいらしく、お誕生日っていいな!と思いました。

20170829

暑さもそこそこに快適な日だったのに、自宅でずっと作業。主な作業をこなしてなんとか家で食事をして終了。疲れた~~~。仕事をがんばっていたら、帰ってきた恋人がビールを一缶サービスでくれたので、がんばるといいことがあるな!と思った日。

20170830

お誕生日イブです!雨が降ったりやんだり、落ち着かない日。同様に私自身も「30代ラストデイ」というのに気づきソワソワしてみましたら、あんまり変わらないですね。鶏肉とレンコンのオイスターソース炒めが好評でした。また作ろう。

20170831

誕生日当日!今日はいろんな仕事をかなぐり捨て、デートの1日でした。約束していたプレゼントを買ってもらい、映画を観たあとはぶらぶらお散歩をして、予約していたビストロへ。今日は気にせずなんでも食べて!という恋人の言葉に甘えてよく食べてよく飲んだ日でした。特別な日に来たくなる良いお店っていいなあ。

こんなエントリを書いてみたり、今まであまり触れていなかったジャンルをいろいろ書いてみたいな、と思っています。

hase0831.hatenablog.jp

20170901

さてもう9月です!この日は連載しているサイボウズ式ブロガーズ・コラムで読者の方を招いたミートアップがあり、いろんな人にお会い出来て最高に楽しい日でした。

久しぶりの方、初めましての方、お会いしてみたいなと思っていた方がワーッと一同に集まっているのは、幸せの構図だなと思いました。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!そしてセッティングしてくださったサイボウズ式編集部のみなさまも、ありがとうございました!

20170902

昨夜の酔いが冷めぬまま引越し先の内見。今のアパートが更新なので、引っ越す予定で色々みているのですが、「ペット可」であっても「猫はNG(犬ならOK)」の壁に相変わらず阻まれており、なかなかに苦戦しました。なんで猫って嫌われるのかしらん……

20170903

昨日の疲れもあり、恋人ともども朝はダラーッと。しかし洗濯機も2回も回したし、銭湯に行って昼風呂を満喫できたし、スーパーの特売を逃さなかったしで、よい日でした。

お昼に作った豚肉とキャベツのおみそ汁が好評でよかった。晩ごはんは、鳥手羽元のカレーでした。安かったときにまとめ買いしたものをうまくやりくるのって、ものすごい達成感がありますね!お料理って楽しいなあ。

 

2017年の第34週は、そんな感じでした。チャオ!

惑え、不惑

いよいよ40歳になってしまった。

個人的に「40歳」、というのは、30歳になったとき以上のインパクトがあるな、と思う。20代の頃は早く大人扱いされたくて、30歳になるのが待ち遠しかった。

結婚や出産などに少なくない焦りはあったものの、仕事場で「まだ若手だから」と扱われるのが、悔しくて仕方なかった。そんなふうにピリピリしていて自意識過剰で、鼻持ちならない20代だった。内面と年齢のバランスをどうやって取ればいいのかもよくわからなくて、いつもなぜか苛立っていた。もう◯歳なのに、こんなんでいいのか。みたいなことをクヨクヨと考えては、自己嫌悪に襲われひどく落ち込んだ。そして30代になれば、この生きづらさも少しはマシになるんじゃないか、と期待していた。

 

実際の30代を振り返ろう。転職をたくさんしてキャリアを作ってこれたし、結婚もできた(離婚したけど)。残念なことに子供はだめだった。が、仕事や会社という集団を通じて、よき友人や後輩とたくさん出会えたし、何より、めいっぱい仕事を楽しんだ。

様々な会社で働いた。社員が5人以下の小規模企業、第二次創業期ベンチャー、社員数が2000人を超える一部上場企業、それぞれの職場はそれぞれが個性豊かで、任される仕事は楽しかった。フリーランスで数年ほど働いたりもしたけれど、自分は「チームで何かをやって達成感を得る」ほうが好きなのだな、と実感できた。何より人が好きで、わたしは人と関わることが好きなのだ、と自覚したのが30代の収穫だった。

 さて40代がスタートするぞ、という状況に我が身を振り返ってみると、いくつか手のひらからこぼれ落ちていったものがあることは、認めざるを得ない。でも(悔し紛れなのかもしれないが)そのぶん新しい何かを掴めている気もする。これがいいことなのか悪いことなのかは、まだ分からない。手のひらからこぼれたものと、そのおかげで手に入れられたものを、簡単に比べることはできない。とはいえ、まあ、悪くない40代として一歩を踏み出せているような気はする。

わたしの40代のロールモデルだと思っていた女性は、2016年に夭折してしまった。ならば自分で自分の40代を、分からないなりに描いていくしかない。お手本はどこにもないし、わたしがお手本になれるわけもない。とはいえ、そういう苦悩や工夫の記録と、不細工なりに自分の人生を描いていく様子を、どこかに記録しておきたい。

そういうようなことをずっと考えているので、思いついたことを「惑え、不惑」というタグで書き始めたいと思います。気が向いたらで構いませんので、よかったらどうぞお付き合いください。

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2017年第33週の日記

暑さが急に戻ってきたような一週間でしたね。Netflixでマスター・オブ・ゼロを最近観ているのですが、むちゃくちゃ面白いです。今週はわりと料理もできて、「スパイスカレー事典」をじっくり読んだり、好きなことができてうれしい週でした。早く秋にならないかな。 

スパイスカレー事典

スパイスカレー事典

 

ということで2017年第33週の日記です。

20170821

晴れて暑い日。作業を進め、非常に内省的に過ごした日。壁に脚を伸ばすスタイルの腹筋を始めたのですが昨日「もう無理!と思ってからが本番だよ!」と教えてもらってなかなか苦戦。引き続きがんばります。

20170822

蒸し暑く曇り空の日。晩ごはんに親子丼を作ったのですが、なんか昔作ったときより簡単に感じるような……。鳥もも肉を一口大に切って、玉ねぎと一緒にだし汁で煮て、クツクツ煮えたら溶き卵。全量の3/4くらいを入れて、最後に残る少量の溶き卵は表面のツヤ出しとして足して蒸す、という手順でした。簡単だった割においしくできてよかった!

20170823

暑い日でした。いやーもう何してても暑い。つらい。夕方すぎるとだいぶ楽になるとは言え、やっぱり夏は体が疲れますね。ということで晩ごはんには肉味噌の冷たいおうどん。

きゅうりを冷たく冷たくしておいたのが良かったようです。肉味噌を少し多めに作ったので、翌日アレンジするつもり。

20170824

日差しも熱く洗濯物がよく乾きそうな日でした。暑かった~……。昨日の肉味噌は、冷凍ごはんを混ぜて少しカサ増しして、少し味付けを足したあと、薄焼き卵でくるんで、オムライスにしました。おいしくできた!

20170825

気持ちのいい暑さの日。雨が降るらしいという噂もありつつ、お天気はなんとか持ちこたえ、よく働いた日でした。夜、恋人と少し外を散歩したのですが、風があって気持ちがよかったです。夜の住宅街はいいなあ。

20170826

曇りつつ蒸し暑い日。頼まれもののPC作業で1日が終わってしまった。なんとなくつけっぱなしのテレビで24時間テレビを観てしまったり、引きこもり&早寝の1日でした。

20170827

いいお天気にも関わらず引き続きの作業日。朝から晩まで机に座ってPC作業をしていたせいで料理欲がわきあがり、晩ごはんに鯖の水煮缶を使ったトマトソースパスタを作りました。あ~日常っていいなあ、という感じ。

 

2017年第33週は、そんな感じでした。

チャオ!

2017年第32週の日記

涼しく雨の日も多かった1週間でした。特に土曜日は荒天で、雨と雷がものすごかったですね。個人的にも体調があまり安定しない一週間だったので、平日はなるべく静かに過ごしたのでした。とはいえ映画を観に行ったりと、充実の1週間。

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ということで2017年第32週の日記です。

20170814

曇って涼しい日。ちょっと小雨がぱらつく中、友人が教えてくれた恵比寿の角打ち(酒屋さんのカウンターで立ち飲みできるお店)で楽しく飲んだあと、ガーデンプレイスへ立ち寄ったら偶然「ピクニックシネマ」に遭遇。雨の中、「雨に唄えば」を鑑賞するというラッキー。

ピクニックシネマ2017|恵比寿ガーデンプレイス
お客さんたちもくつろいでいて、ゆったりと落ち着いた、よい夜でした。

20170815

気圧のせいか体調が悪くグッタリ。
無理をせず休むことにして、1日寝たり起きたりの日でした。

20170816

体調はやや回復。それでも調子が出ないので、やることもいろいろあるのに、としょんぼりしていたところ、恋人がケーキを買ってきてくれました。優しい……。

20170817

引き続き不調でしたが仕事をやや進め、話題になっているVALUのニュースを読みふけったりと、それなり得るものも多い日。久しぶりの創作文を公開するなどしました!

ホームランの夜 - インターネットの備忘録

20170818

今週の不調の不安から、夜に行く予定だったソニックマニアを泣く泣くキャンセル。ギリギリまで一緒に行く予定だった恋人と「どうする?どうする?」と相談していたのですが、無理は禁物ということで断念。
恋人から常々「いつもギリギリまで「大丈夫大丈夫」って我慢するところがあるから、もっと早めに「無理かも」って言うようにして!」と言われているので、今回も反省しました。欲張りなものだからつい「いけるかも」って思っちゃうんですよねー。

20170819

すごい荒天の1日。雹が落ちたようで、すごい音がしましたね。雷も恐ろしいほどの音で轟いていたので、家の中で猫とともに震えていました。夕方、雨が落ち着いたので、気になっていたカフェへ恋人と行き、帰りの電車に乗ったはいいものの、途中で運転見合わせ。

立ち往生していても仕方がない、とその場で電車を降り、近くにあてがあった銭湯へ。2時間弱ほど過ごしました。帰り道、雨はまだ降っていましたがちょっと得した気分。

20170820

昼から立川のシネマシティへ向かい、友人カップルと一緒に極上爆音で『ベイビー・ドライバー』鑑賞。

映画『ベイビー・ドライバー』オフィシャルサイト|ソニー・ピクチャーズ

大好きな映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』の監督さん(エドガー・ライト)だよ、ということで楽しみにしていましたが、最高に良かった〜!音楽と映像が完全にフィットしていて、常に音楽が鳴り続けているのにうるさく感じず、ひたすら気持ちの良い映画でした。もう1回くらいは劇場で観たいのですが、なにせ上映館が少ないのが残念。
その後は新宿へ戻り、トラットリア『プレゴ・プレゴ』へ。菊地成孔さんがおすすめしていたんだよと教えてもらって以来お気に入りなんですが予約が取りづらい。開店と同時になんとか席を確保してもらえたので、ラッキーでした。よく食べよく飲み充実の1日。

2017年の第32週は、そんな感じでした。

チャオ!

ホームランの夜

 賑わう居酒屋のレジでお会計を済ませ外へ出て、少しすねたような様子で人の流れを眺めている彼の後ろ姿を探した。投稿した作品の合否が来ず、気落ちしている彼を励まそうと仕事帰りに夜の新宿へと繰り出したけれど、ビールと焼鳥の串が並ぶ机には落胆のため息ばかりがこぼれた。

「こんなんじゃ酒がまずくなるよな、ごめん」と彼が言うので、早々に居酒屋の席を立った。わたしたちは煙草の煙に押し出されるように店を出て、深夜の歌舞伎町を歩いた。いつもなら隣に並ぶとすぐに手をつないでくれる彼は、両手をポケットに突っ込み、「心ここにあらず」と言った様子でぼんやりとネオンサインに目を向けている。ねえねえ、やっぱり飲み足りないから、もう一軒いこうよ?笑顔を作ってそう尋ねても、返ってくるのは生返事で、わたしはその次の言葉を見つけることができず、口ごもってしまう。
 
しばらくして終電を見送り、なのに行くあてがなく、歌舞伎町のブロックをぐるぐると歩いた。飲み屋が居並ぶ雑居ビルの照明と、ラブホテルのぎらぎらとしたネオンが変わりばんこで視界に入り、数人ずつ固まりになって立っている外国人やスーツを着たホストが、こちらをちらちらと見ているのが分かる。

隣を歩く彼にどんな言葉をかけても、中途半端な慰めにしかならない気がして、思いついた言葉たちは喉の奥でしゅわしゅわと溶けていってしまった。沈黙。とぼとぼと、ただ足を規則的に左右へ踏み出しているわたしたちは、どこへ向かえばいいんだろう。彼は相変わらず斜め上をぼんやりと眺め、どうする、とも言わずに、ただひたすら歩を進めている。たまらなくなって手を伸ばし、ぎゅっと彼の左手を掴んだとき、金属が響くような甲高い音が、耳に届いた。

「何の音?」

彼が興味を引かれたように、やっと口を開いた。わたしもすがるようにして答える。「なんの音だろ。どこから聞こえるんだろうね。あっちの方かな?」キン、カキン、と断続的に届く音をたよりに歩いていくと、高く張り巡らされた緑色のネットと、その手前にくすんだ建物が見えた。

「バッティングセンター」と書かれた看板が掲げられている。さっき聞こえた甲高い音は、金属バットがボールを打つ音だったのだ。もう夜もだいぶ遅いのに、その一帯だけは煌々と灯りがついていて、入り口付近には缶ビールやチューハイを片手に笑う人たちがいた。

その様子に少しひるんだけれど、思い切って彼の手を引いて「行ってみよう」と言い、店の引き戸を開けた。雑然とした店内に足を踏み入れる。タバコの臭いがする。店の入口を入って右手には、古びたゲーム機が並んでいる。左手に打席のブースがあり、ブースと通路の間は、ネットと古ぼけたガラス戸で仕切られている。その向こうにバッティングブースがあるようだ。狭い通路にはぼろぼろのベンチが不規則に並び、バッティングマシーンの打順を待つ人、打席に立つ友人をヤジるサラリーマンの集団、ただ行き場をなくし時間を潰しているカップルなどが様々な表情を見せていて、深夜とは思えないほど賑やかだ。BGMには、大きな音で少し昔のJ-POPが流れていた。


その中でも一番急速が遅いブースが空いていたので、ガラス戸を開け、財布の中から小銭を用意していると、彼が驚いたように聞いた。

「え、お前、できんの?」

「できるよ!」

と答えて短めのバットをラックから引き抜き、細長い穴に小銭を投入した。隣近所のブースを見よう見まねでバッターボックスに立つ。デジタル表示のピッチャーのアニメーションが、こちらへ向かってボールを投球する。

最初の一球は、いつ投げられたのかすら分からなかった。バスン、という音が自分の右側から聞こえて、目の前を白いボールが行き過ぎたことに気付く。ハイヒールを履いたままじゃ無理だ、と思い、両足とも後ろに脱ぎ捨てた。足を踏ん張り、ボールの送出口に目を凝らす。二球目。またボールは見えない。でも、送出口から押し出されるように投げられた白い円形は、なんとか見えた。三球目。思い切ってバットを振るが、かすりもしない。四球目。バットを振ると、下側に軽く、カツンと当たった感触があった。ボールは地面を転がっていくだけだったが、嬉しくて思わず後ろを振り返った。ガラス戸の向こうにいた彼がドアを開けて乗り出し、ネットにもたれてこちらを見ていた。

「タイミング、合ってるよ!うまいじゃん!」

今日初めて聞いた明るく張りのある彼の声に、胸がつまる。急いで目線を戻すと、五球目が投げられた。ぐっと左足に力を入れて、思い切り振り抜く。バットに弾かれたボールは、斜め下を低く前方へ滑っていった。「当たった!」とはしゃいだのもつかの間、それ以降は一球も当たることはなく、ただ足の裏を汚しただけで終わった。

右腕の肘から先がビリビリしているし、手のひらは痛いし、身体は汗ばんで不快だけれど、不思議と気分が高揚していた。脱ぎ捨てたハイヒールに再び足を入れ、ブースを出ると、彼が笑顔で迎えてくれた。バットを握って汚れた手のひらが気になっていたが、彼がぎゅっとわたしの右手を握り、「おれもやってみようかな」と言って、空いているブースを探した。

わたしより早い球速のブースがちょうど空き、彼はわたしにカバンを預けて、打席に立った。カランカラン、と百円玉が吸い込まれる音がして、ラックからバットを引き抜き、両足を踏みしめて構える彼の背中を見つめた。せめて、当たって。祈るように見つめていると、一球目が投げられた。空振り。二球目、空振りだけれど、あと少し。白いボールはまっすぐ彼に向かってきて、こちらから打つ瞬間は見えない。ただ、祈るだけだ。三球目。四球目。五球目。と球数を重ね、空振りが続くが、彼は笑顔を見せ始めている。

「全っ然、当たんねー!」と彼が明るい声で叫び、球数が残りあと少し、というところで、キン!という澄んだ音がした。ボールはブースからまっすぐネット上部に飛んでいく。

斜め上に飛んだボールは、くたびれた緑色のネットに掲げられた看板にぼこん、と当たって、地面に落ちた。看板周辺のネットに引っかかるように飾られている控えめな照明がチカチカと点灯し、「お、すげえ、ホームランじゃん!」と、誰かが言うのが聞こえる。打席に立つ彼も「ホームランだ!おれ、初めてだわ」と言ってわたしを振り返った。その表情は晴れやかで、うん、すごい、すごいね!と頷きながら、わたしたちは笑いあった。

「○番ホームランの人、景品を受け取りに、受付まで来てください」と場内アナウンスが流れる。バッターボックスから出た彼がわたしの手を引き、人をかき分けて受付へ向かった。彼は高揚感からか、声が大きくなっていて、ガラスケースに飾られた景品のひとつ、高級ゲーム機を指差し、「もしかしてこれがもらえるんじゃない?」などとどうでもいいような話をして、一緒に笑った。ぎゅっとつないだ手は、力強かった。

受付にたどり着いて説明を聞くと、ホームランを打った人は、景品がもらえる他に、記念名簿に名前を書けるらしい。景品を受け取り、誇らしげに自分の名前を書く彼のペン先を見つめながら「すごいね、すごいね」と何度も言った。 

あなたはいつだってすごくて、そんなことわたしはとっくに知っていたけれど、何度でも何度でも「あなたはすごいね」と、そう口にしたかった。そんな夜だった。

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